韓国史上初の「メガネアナ」、今度は朝のニュースで「ノーブラ・チャレンジ」
ブラは女性抑圧の象徴?
さて、これまでにも、女性がブラジャーを使って抗議した事例は数多くあった。始まりは、1968年にアメリカで行われた「ミスアメリカ大会」反対運動。200人ほど集まった女性を中心としたデモ隊は、デモンストレーションとして「Freedom Trash Can(自由のゴミ箱)」を用意し、そこへ女性の象徴であるとされるスカートやつけまつげ、下着を投げ捨てた。さらにブラジャーを集め、そこで焼いてみせ、女性の性の商品化ともいえるミスコン開催に抗議したのだ。
その頃から、ブラジャーは女性の体を締め付けるコルセットと同様に、下着でありながら女性への抑制を象徴するものとして度々取り上げられてきた。最近でいえば、昨年6月にスイスで行われた「男女平等賃金とセクハラ撲滅を求めるデモ」では、数千人にも上る女性が集まり道路を1日封鎖するデモが行われたが、そこでもデモ隊によって路上でブラが焼かれるパフォーマンスが敢行されている。
今回、イム・ヒョンジュさんがノーブラにチャレンジしたのは、大々的な男女差別や雇用均等を掲げて行ったわけではない。むしろ眼鏡をかけて出演したときと同様、「自分の体は自分のものだ。なぜ女性という理由だけで好きなように着脱の選択ができないのか?」というささやかな疑問をただ実行しただけだ。
しかし、ノーブラでの生放送出演が世間に知られるようになると、ネット上で「ブラはするもしないも女性個人の自由」という意見と「目のやり場に困る、相手が困ることも考えろ。社会的マナーだ」という意見が対立。イム・ヒョンジュさんに向けられた誹謗中傷の書き込みは未だ続いている。
自殺したソルリさんもノーブラでバッシング
韓国では、誹謗中傷による有名人へのダメージについて度々問題視されてきたが、昨年10月に亡くなったアイドルグループ f(x) の元メンバーであるソルリさんの自殺が記憶に新しい。彼女も、自身のSNSにブラジャーを付けない姿を何度か投稿し、ひどい誹謗中傷を書き込まれていた。他にも様々な批判が浴びせられ、鬱状態にまで追いこみ、最終的には彼女は自ら命を絶つ結果となってしまった。
イム・ヒョンジュさんは、インタビューなどで「(悪質な書き込みについて)気にしていない」と語っていたが、あまりのひどさに法的措置も辞さないと発表せざるを得ない状態になった。アンチコメントを今まさに書こうとしている人は、いったん手を止めて、そのひと言がきっかけで彼女を追いこんでしまうかもしれないことを考え直してほしい。