最新記事

2020米大統領選

米民主党ブティジェッジ撤退へ 候補者指名争いはバイデン有利に?

2020年3月2日(月)12時02分

11月の米大統領選に向けた民主党の候補指名争いで、ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長が撤退を準備していることが、陣営関係者の話で明らかになった。2月29日、ノースカロライナ州で撮影(2020年 ロイター/Eric Thayer)

ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長は1日、11月の米大統領選に向けた民主党の候補指名争いから撤退すると明らかにした。

初戦のアイオワ州で僅差ながら勝利し、第2戦のニューハンプシャー州でも2位につけたが、2月29日のサウスカロライナ州予備選では4位に終わった。14州の予備選などが集中する3月3日の「スーパーチューズデー」を前に撤退する。

ブティジェッジ氏は、サウスベンドで支持者を前に1日夜、「われわれの目的は常に、ドナルド・トランプに打ち勝ち、われわれの価値のための時代を勝ち取るため、米国民を結束させることだ」と述べ、撤退を表明した。

陣営関係者によると、ブティジェッジ氏は、指名候補争に残ることで急進左派のサンダース上院議員の独走を助けるという事態を防ぐため、撤退を決めたという。

サウスカロライナ州で3位だった富豪のトム・ステイヤー氏も29日に撤退を表明しており、民主党の指名争いに残る候補者は6人となった。

ブティジェッジ氏の撤退は、サウスカロライナ州で圧勝し、スーパーチューズデーに向けて弾みをつけたバイデン前副大統領に有利に働く可能性がある。

これより先、民主党の候補者らはアラバマ州の教会で行われた公民権運動の記念行事に参加した。米国初の黒人大統領となったオバマ氏の副大統領を務めたバイデン氏が温かい歓迎を受けた一方、ブルームバーグ氏に対しては、演説中に一部の聴衆が背中を向けるなど冷ややかな対応が見られた。

同氏はニューヨーク市長時代に、黒人やヒスパニック系の人々を集中的に所持品検査する政策を支持したことで批判を浴びている。

黒人有権者は民主党の重要な支持層であり、ブルームバーグ氏が今後の選挙戦で黒人有権者の支持獲得に苦戦する可能性が浮き彫りになった。

バイデン氏とブルームバーグ氏は、急進左派のサンダース氏を民主党候補に立てれば、本選でトランプ大統領に勝てないと主張し、トランプ氏に対抗するには自身が最良の党候補だと有権者にアピールしようとしている。

バイデン氏はフォックス・ニュース番組で「民主党は、社会主義者でなく、元共和党員でもない、民主党員を候補として必要としている」と強調した。バイデン氏の共和党に関する言及は、過去に共和党員だったブルームバーグ氏を指していると思われる。

民主党内では先週、サンダース氏の独走を警戒する声があがった。国民皆保険制度など、サンダース氏が提唱する急進的な政策は、穏健派の有権者を遠ざける恐れがあるとの懸念が出ている。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中