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「訓練されたAI」が新薬候補を続々と発見

AI and New Horizons for Antibiotics

2020年3月14日(土)15時00分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)

研究チームによれば、ハリシンは細菌が耐性を獲得しにくい生理メカニズムを介して作用するため、特に有望だという。実際、30日に及ぶ実験期間中、大腸菌はハリシンに対する耐性を獲得しなかった。

チームは今後もハリシンの研究を重ね、他の機関と協力して新薬を開発していく構えだ。しかも、発見された有望な新薬候補はほかにもある。約15億種類の物質を網羅する膨大なオンラインデータベース「ZINC15」で約1億種類の化合物をスキャンした結果、3日間でさらに23種類の有力候補を特定。うち8種類が抗生物質として使えることが判明した。

研究チームは今後、これらの化合物の研究を進めるとともに、ZINC15のスキャンも続ける計画だ。AIの活用がさらに進めば、抗生物質以外の分野でも新薬開発や既存薬の改良が期待できそうだ。

<本誌2020年3月17日号掲載>

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