新型コロナウイルスを媒介したかもしれない「センザンコウ」って何?
Wait, What’s a Pangolin?
だが「センザンコウによるウイルス媒介説」については、まだ科学的な裏付けも、信ぴょう性の高い研究報告もない。自然保護活動家のジョナサン・コルビーは、センザンコウと今回の感染拡大を結びつける「噂」が、漢方薬に関する人種差別的な(そして馬鹿げた)論調を煽りかねないと警告する。
「感染源――防御不能のパンデミックを追う」の著者であるソニア・シャーは、新型コロナウイルスに関する真の責任は、それを広めた可能性があるセンザンコウやコウモリ、ヘビなどの動物ではなく人間にあると主張する。人間がそれらの動物の生息地を破壊したために、動物の持つさまざまな菌に触れることが増えたのだという。それにセンザンコウが、今回の感染拡大にまったく関与していない可能性もある。それにもかかわず、ただでさえ少ないせんセンザンコウが、次はウイルスへの恐怖から殺されるようになるのではないか、と自然保護専門家は心配している。
(翻訳:森美歩)
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