最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス、正式名「COVID-19」に 中国の専門家は4月終息を予想

2020年2月12日(水)08時24分

世界保健機関(WHO)は新型ウイルスの感染拡大が世界に及ぼす影響はテロリズムを超える恐れがあるとして一段の警戒を呼び掛けた。写真はテドロスWHO事務局長。11日スイスで撮影。(REUTERS/Denis Balibouse)

新型コロナウイルスによる肺炎の累計の死者数が中国で1000人を超える中、世界保健機関(WHO)は新型ウイルスの感染拡大が世界に及ぼす影響はテロリズムを超える恐れがあるとして一段の警戒を呼び掛けた。

WHOのテドロス事務局長は11日、新型ウイルスの感染拡大は「世界全体に非常に重大な脅威」を及ぼすとし、「世界は目を覚まし、このウイルスを最大の敵だと認識する必要がある」と指摘。新型ウイルスの正式名称が「COVID─19」に決定されたことを明らかにすると同時に、1年半以内に新型コロナウイルスのワクチンの用意が整う可能性があるとの見通しを示した。

感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームを率いる鐘南山氏はロイターのインタビューに応じ、中国国内における新型コロナウイルスの流行は2月にピークを迎え、4月ごろに終息する可能性があると予想。「今月の半ばか下旬にピークを迎える可能性がある。その後はやや横ばいのような状態になり、それから収まるだろう」とし、「4月ごろに終息すると望んでいる」と述べた。

鐘氏によると、中国国内の一部地域では既に状況が改善しており、新たな感染件数は減少している。

WHOによると、中国の死者数は1017人、感染者数は4万2708人。中国本土以外では24カ国・地域で319件の感染が確認された。中国本土外の死者数は香港とフィリピンでそれぞれ1人ずつと、合わせて2人となっている。

中国の統計によると、新型ウイルス感染の死亡率は約2%で、死亡した人の多くは高齢者、もしくは既往症を持った人たちだった。

新型ウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響についても懸念が広がっており、この日は米セントルイス地区連銀のブラード総裁が講演で、中国経済は新型コロナウイルス感染拡大への対応措置により今年上半期は「目に見えて減速する」との見方を表明。新型ウイルスの封じ込めに向け中国政府が打ち出した対策はかなりの規模で、これにより中国の今年上半期の経済成長は、こうした対策がない状態と比べ、目に見えて減速する」と述べた。

このほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長もこの日の議会証言で、米経済済見通しに対し前向きな見方を示しながらも中国が発生源となっている新型コロナウイルスの感染拡大などに懸念を表明した。

銀行筋によると、新型ウイルス感染拡大による影響に対応するため、中国では300社を超える企業が合計574億元(82億ドル)の融資を申請。

JPモルガンは第1・四半期の中国の成長率見通しを下方修正したほか、ノルウェーのエネルギーコンサルティング会社、ライスタッド・エナジーは新型ウイルス感染拡大で世界的な原油需要は今年は約25%減少するとの見通しを示した。
[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、トランプ関税発表控え

ワールド

カナダ・メキシコ首脳が電話会談、米貿易措置への対抗

ワールド

米政権、軍事装備品の輸出規制緩和を計画=情報筋

ワールド

ゼレンスキー氏、4日に多国間協議 平和維持部隊派遣
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中