3年前に亡くなった7歳の娘と「再会」 韓国、VRを使ったテレビ特番が賛否呼ぶ
母親の心のケアは?
企画が公になるにつれて、予告編を見た視聴者からは感動を期待する一方、「再会後さらに心を痛めるのではないか」と母親を心配する声も上がった。また、放送終了後には、多くの賞賛と共に、一部反対意見も上がっている。その多くが、VRの技術は素晴らしいが、それを幼い娘を失くした家族を通してTV放送するのはいかがなものかと疑問視する声だった。さらに、母親の今後の心のケアは万全の体制を取っているのか指摘する書き込みも見られた。
また、昨今ハリウッドで浮上している問題と同様に、亡くなった人の著作権も問題視される。AIを駆使し亡くなった人をスクリーンに出演されることは倫理上どうなのか、今後悪用される心配はないのか。これからさらに論議されていくことだろう。
母親は個人ブログを運営していたが、視聴者からの心無い書き込みもあったのか、放送後ブログを一時閉鎖している。番組の反響を受け、今月7日MBCのFMラジオ「イ・スンウォンの世界は? そして私たちは?」にゲスト出演した番組プロデューサーのキム・ジョンウ氏は、この件について、「(母親に誹謗中傷しないで)私に直接書き込んでください」と訴えた。
来月3月12日には、続編ともいえる「"あなたに会えた"ビハインドストーリー」の放送が決定している。これで、少しは理解を深めナヨンちゃん家族に対する誹謗中傷が減ることを願っている。
VRの新たな活用
ゲームセンターなどにVRが登場し、その後VR技術がポルノ業界に進出しだしたころ、筆者は嫌悪感よりも「なるほど、そっちの方面でも活用方法があるのか」と感心したのを覚えている。一つの技術が他方面に広がりを見せ、個々で更なる発展を見せるのは素晴らしく、人間のもつ可能性は無限だと思い知らせてくれる。
スマートフォンなどで写真や動画を簡単に手元に残せて置ける時代となった今だからこそ、このVRのナヨンちゃんも再現できた。未来には、製作費に1億ウォンも掛けずしても、アプリを起動すれば誰でも簡単に会いたい人を呼び出せる世界になるかもしれない。ただし、VRはあくまでも"仮想"現実である。気軽に、より精巧になっていくVR技術にのめり込み仮想世界に行ったきりで戻れなくならないように、今後はVRによる心のケアも重要視されるだろう。