最新記事

新型コロナウイルス

中国・湖北省、新型コロナウイルスの死者242人増え過去最悪に

2020年2月13日(木)11時18分

中国湖北省の衛生当局は2月13日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が12日時点で242人増え、合計1310人になったと発表した。同省武漢市のスーパーで2月12日撮影。(2020年 ロイター/China Daily)

中国湖北省の衛生当局は13日、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が12日時点で242人増え、合計1310人になったと発表した。確認基準の変更を受け、感染者は急増した。

新型肺炎の感染者数は12日時点で新たに1万4840人増加し、合計では4万8206人となった。

死者の増加数は、昨年12月に新型ウイルスが特定されて以降で最悪。これまでは今月10日の103人増が最悪の記録だった。

中国本土で11日に新たに確認された感染者は2015人と、1月30日以来の低水準だったが、湖北省が13日発表した新たな感染者は省内だけで1万4840人にのぼった。

中国国家衛生健康委員会は13日、12日時点の中国本土での新たな死者数は254人で、合計では1367人と発表した。新たな感染者数は1万5152人で、合計では5万9805人となる

湖北省当局者は、13日から従来とは異なる検査方法で感染が確認された患者の数を全体に加えたと説明。新たな検査方法の結果を含まない場合、感染者数の増加幅は1508人にとどまったとした。

湖北省衛生健康委員会は前週、CTスキャンで陽性反応が出たケースについても確認された感染例に含めると表明していた。

同委はまた、古いデータや感染が疑われる例の評価を修正したと明らかにした。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校のビクター・シー准教授は、「今回の集計結果の修正は、当局がこれまでずっと、確認された感染例について2種類のデータを持っていたことを意味する。そうでなければたった1日でこれほどまで多くの新たな感染例を加えることはできなかったはずだ」と指摘。

「今回発表された新たな感染例の大半は武漢市のものであるため、湖北省のその他の地域がまだ集計方法を修正していなかったらどうなるのかというのが非常に気になる」と述べた。

同省はこれまで、体内にあるリボ核酸(RNA)の検査で陽性反応が出た場合のみ、感染が確認されたとしてきた。ただ、同検査には時間がかかるため、治療の遅れにつながる。同委は、肺感染を特定するCTスキャンによって患者は早期に治療を受けられるようになり、回復の可能性が高まるとしている。

豪ニューサウスウェールズ大学カービー研究所のバイオセキュリティ研究責任者、レイナ・マッキンタイヤ教授は、CTスキャンによる感染確認は死者数の急増につながる可能性があると指摘。

「恐らく、CTスキャンは受けたが検査試薬は使われなかった患者が死亡している。これらの死者を全体数に加える必要がある」と述べた。

ロイターはこれまで、新型コロナウイルスの発生源である武漢市における検査試薬の不足が問題となっており、適切な診断と治療の遅れにつながり、発生直後の感染拡大を加速させた可能性があると報じている。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中