中東和平案、トランプの本音は何か
What Does Donald Trump's Middle East Peace Plan Say
1月28日にホワイハウスで中東和平案を発表したトランプとネタニヤフ Joshua Roberts-REUTERS
<中東和平の仲介役に意欲をみせてきたトランプが中東和平案を発表。イスラエル寄りの姿勢が目立ち、パレスチナは反発を強めている>
ドナルド・トランプ大統領の中東和平案がついに発表された。80年にわたるイスラエルとパレスチナの領土紛争に終止符を打つために、長年争いの的だった地域をイスラエルに支配させ、パレスチナに国家として独立する可能性のある道を開くという内容だ。
トランプは1月28日、ホワイトハウスでイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相と共に80ページの「平和と繁栄、より明るい未来のためのビジョン」を発表し、イスラエルとパレスチナの紛争を解決する戦略を明らかにした。トランプとネタニヤフはともに選挙を目前に控え、しかもスキャンダルに直面している。
トランプは「権力乱用」と「議会妨害」の容疑で弾劾裁判に直面している。ネタニヤフは、トランプの和平案発表の数時間前に収賄、詐欺、背任の容疑で正式に起訴された。
投資と経済的繁栄を約束
今回の和平案は、「パレスチナの領土を倍以上に増やし、アメリカが大使館を置く東エルサレムをパレスチナの首都とする」ものだ、とトランプは述べた。ただし、パレスチナが首都にできるのは、イスラエルの占領下にある東エルサレムの分離壁の外側の地域になる。トランプはパレスチナの管理地域への多額の国際経済投資も約束した。
この和平案は、ヨルダン川西岸と東エルサレムの境界を劇的に変える。この二つの地区は1947年の国連によるパレスチナ分割案によってパレスチナ人国家の一部として認められていたが、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領し、実効支配している。
トランプ和平案の枠組みでは、イスラエルがヨルダン川西岸地区と東エルサレム、および東部国境沿いのヨルダン渓谷に建設されたユダヤ人入植地を併合し、自国の法律を適用することができる。
パレスチナは非武装化された国家となり、ヨルダン川西岸とガザ地区を結ぶトンネルが建設される。パレスチナは新たにエジプト国境沿いの南西部の砂漠地帯を獲得し、イスラエル西部とヨルダン南部の港湾施設にアクセスできるようになる。
「パレスチナ人もイスラエル人も、今住んでいるところから追い出されることはないだろう」と、トランプは言う。
トランプによればイスラエルは、パレスチナ側が和平交渉への参加に同意した場合は誠意の印として、入植地の建設を5年間中断することにも同意したようだ。
トランプの和平案には、パレスチナ自治区の経済的に困窮した地域への多額の投資も含まれている。この案で、今後10年間にパレスチナ人100万人分の新たな雇用を創出し、貧困を半分に減らし、パレスチナのGDPを2倍から3倍にする、とトランプは確約する。和平案は、教育、観光、インフラ、ヘルスケアなどに支えられた堅実な市場経済をパレスチナに築き上げる構想を提示している。
この政策は、アラビア半島の豊かな国々が、ヨルダン川西岸とガザ地区の商業と建設を盛り上げるために500億ドルの投資をするという希望的観測に基づいている。
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