日本と同様の人口減少を迎えるユーロ圏が受け入れるべき「期待しない時代」
Will Eurozone Policymakers Take The Long View?
90年代前半に成長率が下がり始めると、日本政府は公共インフラへの支出を大幅に増額した。最大でGDPの6%を占めたその規模は、1人当たりGDPで並ぶその他の先進国の約2倍に上ったが、それでも成長率低下は止まらなかった。
労働力になる移民の流入増が無理な相談なら、欧州、なかでもユーロ圏に残る選択肢はほぼ1つ。「期待しない時代」を甘受することだ。各国政府は拡張的財政政策をずるずると続ける誘惑に駆られるだろうが、行く手にはユーロ圏の財政規律が立ちはだかる。財政赤字が対GDP比3%を超えてはならないとのルールは先般の危機の最中、大いに批判された。だが今や、人口減少の必然的な結果であるものを相殺しようと無駄な努力をする政府が、債務を過剰に膨らませる事態を牽制する上で、この規律が有効だと証明されるのではないか。
2010年代は、前代未聞の経済政策が要求された例外的な時代だった。しかし、もはやそうではない。ECB(欧州中央銀行)と財政政策担当者はより長期的に思考し、景気刺激策を継続しても人口減少の影響はおそらく穴埋めできないという事実を受け入れなければならない。
<本誌2020年1月21日号掲載>
2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。