イランによるウクライナ機撃墜の悲劇 なぜ飛行禁止にできなかったのか
東西の回廊
今回旅客機を撃墜されたウクライナ国際航空は、離陸前にイラン当局から何の警告も受けなかったとしている。フライトレーダー24によると、この日朝にテヘラン空港から離陸したのは同機が10機目だった。
中東では紛争が絶えないが、この地域の空は東西を結ぶ「回廊」としてますます必要とされている。航空会社は最短ルートを飛んで燃料を節約するよう、経済・環境の両面で強い圧力にさらされているからだ。
国際航空運送協会(IATA)によると、米国がイラン精鋭部隊のソレイマニ司令官を殺害してから3日後、あるいはイランが報復攻撃を行う前日に、イラン・イラク間では約1000便の運航があった。
ただ、その中に米民間機は含まれていない。イランが昨年6月に米軍のドローンを撃墜した後、米連邦航空局(FAA)は既に米航空会社によるイラン空域の飛行を禁止していたためだ。しかし、米国以外のリスク評価は違っていた。
IATAは、リスク評価の向上に努めるとしている。
事情に詳しい筋によると、ICAOは各国の民生航空当局と軍当局の間の意思疎通を向上させる策を検討している。
またウクライナ安全保障・軍事当局の高官はロイターに対し、民間機の飛行の危険を警告する国際システムの創設に向け、同国政府が尽力し始めるだろうと述べた。
(Allison Lampert記者 Rozanna Latiff記者 Tim Hepher記者)
2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。