ウクライナ機は本当にイランが撃墜したのか?
Iranians Shot Down Ukraine Flight, Probably by Mistake, Sources Say
イラン民間航空機関はカナダとスウェーデンの調査協力も受け入れる意向を表明。だが同機関のアリ・アドベザデ局長は、回収した墜落機のブラックボックスをアメリカに渡すつもりはないと強調した。ブラックボックスには、墜落直前のコックピット内の会話やフライトデータの詳細が記録されている可能性がある。
その後、イラン政府は声明を発表。国際民間航空機関の規則に従い、諸外国の調査協力を受け入れることに加えて、ボーイングから派遣された担当者がブラックボックス(アドベザデによれば損傷している)を調べることを許可するとも述べた。
これに先立ちアドベザデは、問題の旅客機がミサイルで撃墜されたという憶測を否定。声明の中で彼は、そのようなことは「科学的に不可能で、噂は全くのナンセンスだ」と主張した。「もしロケットかミサイルが命中したのであれば、飛行機は真っ逆さまに墜落するはずだ」と、アドベザデは言う。だが操縦士は飛行機を戻そうとしたという。「ロケットかミサイルにやられた航空機が空港に戻ろうとするなどあり得ない」
カナダのフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ外相は9日にイランのジャバド・ザリフ外相と異例の電話会談を行い、「カナダ当局者が迅速にイラン入りを認められ、遺体の身元確認を行い、また調査に参加できる必要があると強調」した。「カナダとカナダ国民は、多くの疑問への答えを必要としている」と彼は語った。
背景にある米イラン対立の歴史
カナダ外務省は、墜落機がミサイルで撃墜された可能性があると考えているかという本誌の質問に対して、回答を保留している。
だが同国のジャスティン・トルドー首相は9日、「問題の旅客機がイランの地対空ミサイルで撃墜された」ことを示す機密情報を、政府当局者が「複数の情報筋から得ている」と認めた。
その上でトルドーは、「(撃墜は)意図的なものではなかった可能性がある」と語った。「この新たな情報により、徹底した調査の必要性がさらに高まった。カナダは同盟諸国と協力して、墜落事故の原因を特定するために徹底した、信頼できる調査が行われるようにしていく」
アメリカとイランの間の緊張は、2019年末にイランの指示とみられるイラク駐留米軍への攻撃が増加したことを受けて、一気に高まった。そして1月3日にアメリカがスレイマニを殺害すると、イランは報復としてイラク国内の複数の駐留米軍基地を攻撃した。
直接的な衝突はほとんどなかったものの、両国の対立は40年前から続いている。きっかけは1979年に起きたイラン・イスラム革命で、このときテヘランの米大使館が占拠され、職員やその家族が14カ月以上にわたって人質に取られる事件があった。