最新記事

中東

米連邦航空局、民間航空会社にイラク・イラン上空などの運航禁止を通達

2020年1月8日(水)17時05分

米連邦航空局(FAA)は7日、米国の民間航空機に対してイラク、イラン、オマーン湾およびペルシャ湾上空の運航を禁止すると発表した。写真はニュージャージー州の空港で2015年7月撮影(2020年 ロイター/Eduardo Munoz)

米連邦航空局(FAA)は7日、米国の民間航空機に対してイラク、イラン、オマーン湾およびペルシャ湾上空の運航を禁止すると発表した。イランがイラクの米軍駐留基地をミサイルで攻撃したことを受けた措置。

イランは現地時間8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。

FAAは運航禁止措置について「中東で軍事活動が激化し、政治的な緊張が高まっており、民間航空機が想定外に巻き込まれるリスクが生じている」と説明した。

フライトレーダー24のデータによると、イランによるミサイル攻撃時に複数の非米系航空機がイラクとイランの空域を飛行していた。

米国以外の航空機はFAAの措置に直接影響を受けることはないものの、各国の航空会社や政府当局者は通常、FAAの方針を慎重に検討して空路を決めている。

FAAは昨年既に、イランが米軍の無人偵察機を撃墜したことを受け、米航空会社にイラン領空のうちホルムズ海峡およびオマーン湾の上空の飛行を禁止していた。

大韓航空とタイ国際航空は、イランによるミサイル発射の前からイランとイラクの上空を避けていたと表明。

カナダ運輸省は、中東情勢を巡りFAAと緊密に連絡を取り合っているとしたほか、エア・カナダがルート変更を行っていると明らかにした。

インドの航空規制当局は航空会社に正式な指示は出していないが、当事者企業と会合を開き、引き続き警戒するよう助言した。当局者が明らかにした。

シンガポール航空はイランによるミサイル発射後、同社のすべての航空機がイラン上空を避けて運航すると明らかにした。

マレーシア航空はイラク上空を通過する便は運航していないが、イラン空域を通過する便についてはルート変更を行う方針を示した。台湾のチャイナエアラインはイランとイラクの上空飛行は自粛するとした。

豪カンタス航空は、当面イラクとイランの上空を避けるためにルートを調整すると表明。パース─ロンドン間のフライトで最大50分余計にかかるという。

ドバイに拠点を置くエミレーツ航空とフライドバイは8日、イランのミサイル攻撃を受け、バグダッド行きの帰路のフライトを欠航とした。必要があればさらに運航の変更を行うという。

カタール航空はイラク行きの便は通常通り運航しているとした。

国際航空運送協会(IATA)は7日、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍のドローン空爆によって殺害され、中東の緊張が高まったのを受け、航空会社間および国家間の「効果的な連携と対話」を支援するための国際航空チームを立ち上げたと明らかにしていた。

*内容を追加しました。

[ワシントン/モントリオール ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ制圧のクルスク州、ロシアが40%を奪還=

ビジネス

ゴールドマンのファンド、9億ドル損失へ 欧州電池破

ワールド

不法移民送還での軍動員、共和上院議員が反対 トラン

ワールド

ウクライナ大統領、防空強化の必要性訴え ロ新型中距
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中