イラン、イラク駐留の米軍基地2カ所へ十数発のロケット弾発射 トランプは「万事順調」
イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアルアサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。写真はイラクのアルアサド空軍基地。2019年12月29日撮影(2020年 ロイター/Thaier Al-Sudani)
イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。この数時間前には、米軍の空爆によって殺害されたイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の葬儀が行われ、軍や政府の高官が米国への報復を誓っていた。
イランのヘサメディン・アシェナ大統領顧問は8日 米国がイランのミサイル攻撃に反撃すれば、中東地域の全面戦争につながるとツイッターに投稿した。同顧問は「米国が軍事行動で反撃すれば、地域の全面戦争につながる。ただサウジは別の道を行くかもしれない。完全な平和を享受できるかもしれない!」と述べた。
米国防総省によると、米国主導の有志連合軍が駐留する少なくとも2か所のイラク軍基地に対し、イランから十数発の弾道ミサイルが発射された。
イラン革命防衛隊は、ソレイマニ司令官殺害の報復としてロケット弾を発射したと認めた。国営テレビが報じた。これ以上の死者を出さないよう米国は地域から撤退したほうがよいとしている。
米国防総省のホフマン報道官は、声明で「攻撃による初期の被害状況を調査している」と説明した。攻撃されたのはアル・アサド空軍基地とエルビルにある基地という。そのうえで「状況と対応策を判断したうえで、米国人、パートナー、地域の同盟国を守るため、必要なあらゆる措置を講じる」と述べた。
トランプ米大統領は7日、イランのミサイル攻撃について、被害状況の確認を進めており、8日午前に声明を発表すると述べ、ツイッターに「万事順調だ!」と投稿した。報道官によると大統領は国家安全保障チームと協議しているという。
ある関係筋は米国側に負傷者はいないもようだと語った。他の米当局者らはコメントを控えた。
エスパー米国防長官は7日の国防総省での記者会見で、「イランが何らかの方法や形で報復すると予期すべきだ」と語っていた。イランが支援する国外の代理勢力あるいは「イラン自身の手」によって行われる可能性があるとした。
「あらゆる不測の事態に私たちは備えている。イランがどのような行動に出ても、適切に対応する」と続けた。
イランのザリフ外相は、イラクの米軍駐留基地にロケット弾を8日に発射したことを受け、イランは事態の激化や戦争を求めていないとツイッターで表明した。その上で、イランはいかなる攻撃に対しても自衛すると付け加えた。