イラン、核合意の制限放棄で深まる核危機
Iran Fully Withdraws From Nuclear Deal and Criticizes Europe
「無謀さを増すアメリカの行動がきっかけでイランは核合意の順守をやめた。そこから分かるのは、核保有大国に好き勝手をさせるのがいかに危険かということだ。この負のスパイラルは人道的な悲劇につながりかねない」とフィンは述べた。
「ブレーキを踏むなら今しかない」ともフィンは述べた。「両国ともにイラン核合意の完全履行に戻らなければならない」
イランは現時点では核兵器を保有しておらず、開発には少なくともあと1年はかかるだろうというのが専門家の見方だ。イラン政府上層部は核兵器開発の意図を繰り返し否定するとともに、核技術の平和利用への意欲を示してきた。だがアメリカは一貫して、イランが軍事目的で核開発を進めていると非難してきた。
イランの最高指導者アリ・ハメネイの軍事顧問を務めるホセイン・デフガンは5日、スレイマニ殺害への報復としてイランはアメリカの軍事施設を攻撃する計画を立てているとCNNに語った。
「戦争を始めたのはアメリカのほうだ。だから、自分たちの行為に対する当然の反応を受け入れるべきだ」とデフガンは主張した。
「予期した時には起きず、起こるだろうと思った場所には来ない」
だが国際情勢分析サイト『ジオポリティカル・フューチャーズ』の創立者兼会長のジョージ・フリードマンは、イランが近いうちにアメリカに対する攻撃を成功させるとの見方には懐疑的だ。
「特殊部隊のトップとともに情報機関のトップも死んだのだから、立て直しには時間がかかるだろう。クッズ部隊は通常、隠密行動を取るが、報復は建物とか群衆とかいった目立つものを狙わなければならない」とフリードマンは言う。「(報復攻撃は)予期した時には起きず、起こるだろうと思った場所には来ないのが普通だ」
トランプは4日、ツイッターで報復を行わないようイランに警告を発した。軍事報復が行われた場合に備え、アメリカは52カ所の標的のリストを用意しているというのだ。
「アメリカは軍備に2兆ドルを費やした」と、トランプはツイートで述べた。「われわれ(の軍隊)は世界で最大、そしてまさに最良だ! もしイランがアメリカの基地やアメリカ人を攻撃すれば、ピッカピカの新品兵器を送り込むだろう......ためらうことなく!」
(翻訳:村井裕美)
2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。