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インドネシア「LGBTに優しい」バリ島も変節させる、インドネシアに広がる不寛容
ジョコ大統領は観光業と世論の板挟み WILLY KURNIAWAN-REUTERS
<経済面で観光業に依存するバリ島でLGBTを締め出すことの損失は甚大だが>
インドネシアでは厳格なイスラム法が適用されるアチェ州を除いて、同性愛は違法ではない。だが近年、人口の圧倒的多数を占めるイスラム教徒を中心に、LGBTを嫌悪する世論が強まっている。
ヒンドゥー教徒が多く、LGBTに優しい島として知られてきたバリ島にも、そんな不寛容の空気が広がりつつある。バリ島バドゥン県の文化当局の責任者は、「ゲイ歓迎」を掲げる宿泊施設の存在そのものが「バリ島の観光業を汚している」と発言。レストランやショップが立ち並ぶスミニャック地区の宿泊施設に相次いで当局の調査が入り、同性愛者向けの複数のゲストハウスが一時的な営業停止を命じられている。
だがバリ島の経済は観光業に大きく依存しており、LGBTを締め出せば、その影響は甚大とみられる。昨年9月、同性愛カップルを含む婚外の性的交渉を禁じる法案の採決を直前で止めたジョコ大統領は、世論との板挟みで難しい舵取りを迫られそうだ。
<本誌2020年2月4日号掲載>
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