中国、新型コロナウイルス死者132人・感染者5974人に WHO専門家チーム派遣受け入れ
各国政府・企業は対応急ぐ
こうした中、各国政府による武漢からの自国民退避や企業による中国への渡航制限などの動きが広がっている。
米政府は中国からの旅行者に対するスクリーニング検査をこれまでの5空港から20空港に拡大。アザー米厚生長官は「新型肺炎に対処するすべての選択肢が検討されている。渡航制限も含まれる」と語った。
米国務省は武漢にある米領事館の職員を米国に退避させると発表。航空機の座席の一部を民間の米国民にも提供するとしている。
欧州連合(EU)もフランスからの要請を踏まえ、武漢からEU市民を退避させる航空機2機手配の資金を共同拠出する方針を表明。1機目は29日にフランスを出発し、仏国民約250人を出国させる。
英国政府は、香港とマカオを除く中国本土への必要以外の渡航は控える勧告した。
オーストラリアのモリソン首相は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、発生源とされる武漢市がある中国湖北省に滞在している豪州人の一部を退避させ、インド洋にある自国領クリスマス島で検疫を実施する方針を明らかにした。
大手企業では、米フェイスブックが不要不急の渡航を控えるよう従業員に指示。韓国LG電子<066570.KS>も中国への渡航を全面的に禁止し、既に中国に出張中の社員に早急に帰国するよう指示した。外銀としては中国で最もプレゼンスの大きい英HSBCが今後2週間にわたり社員の香港への渡航を禁止。中国本土への渡航についてには、追って通知があるまで禁止した。
オーストラリアのピーター・ドハーティー感染・免疫研究所は29日、中国国外で初めて新型コロナウイルスの培養に成功したことを明らかにした。WHOや各国の研究所とサンプルを共有するとしており、感染拡大の抑制につながる可能性もある。
アジアの株式市場は伸び悩む展開。感染拡大への懸念から香港株<.HSI>は7週間ぶりの安値に下落している。
*内容を追加しました。
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