NZホワイト島噴火、責任の所在はどこに 「予見可能性」が焦点
複数の法律専門家の話では、この種のタイプの上陸観光ツアーでは、クルーズ船所有会社は雇ったツアー運営会社に責任を転嫁しようとする。もっともロイヤル・カリビアンは、ホワイト島の観光ツアー運営会社を明らかにしていない。
乗客側としては、訴訟になればロイヤル・カリビアンが観光ツアー運営者をじっくり審査する適切な注意義務を怠ったと証明しなければならないと何人かの弁護士はみている。
ここに加わる難題が、噴火は予見できなかったとの主張を覆すことだ。
ノルウェージャン・クルーズラインは、2005年の大波によるクルーズ船損傷事故では、この予見不能の言い分が認められ、集団訴訟を免れることができた。規制当局が、同社の行動に問題はなかったと結論付けたためだ。
ロイヤル・カリビアンも、16年に米東部沖でクルーズ船が大嵐に巻き込まれた問題で集団訴訟を起こされた際に、同社は嵐のリスクを知っていたという乗客側の批判を無効にしようとして、予見できない自然災害だったという弁論を用いた。
今回に関しては、訴訟が起こされれば、ロイヤル・カリビアンがサイトに掲載したホワイト島観光ツアーのドラマチックな紹介をどう解釈するか、が焦点になりそうだ。法律専門家によると、乗客側は、大きな災害が発生する可能性を同社が承知していたと立証する材料にするという。
これに対して同社が、乗客はさまざまな危険について完全に情報提供を受け、適切な安全装備を受け取っていたと反論してもおかしくないだろう。
(Tom Hals記者)


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