最新記事

配車サービス

米ウーバーが安全報告書を公開、1日平均8人が性的暴力被害に

2019年12月11日(水)18時45分
松丸さとみ

1日あたり8人が性的暴力の被害に

性的暴力や死亡事故の割合だけを見ると、「ウーバーはかなり安全」という気になる。報告書も、「ウーバーはもっとも安全な移動手段の1つ」としている。しかしこの報告書を取り上げた米CNNの見方はかなり厳しい(CNNは、ウーバーが今回、安全報告書を公表したのは、ウーバー利用時の性的暴力に関するCNNの報道がきっかけだとしている)。

性的暴力の数を利用回数の中での割合(前述の0.0001%や0.00002%といった数字)で示すことで、性的暴力をそのものとしてではなく全体的な文脈の中で示そうとしている、とCNNは指摘。ウーバーは発表文の冒頭で、米国全体(ウーバーではなく国として)での殺人や性的暴力の発生率を掲載しているが、そうした手法や、ウーバーが利用された回数のうち99.9%は何の問題もなかったとの主張も、ウーバー利用時の被害を全体的な文脈の中に納めてしまっているとCNNは批判している。

また、米女性誌「グラマー」はこの報告書について、6000件近い性的暴力が報告されたということは、1日あたり平均で8人が性的暴力の犠牲に遭っているということだと指摘。サービスを利用しようとアプリを立ち上げるときに性的暴力に遭うことを想像する人などいないとして、この数字が果たして本当に少ないのかと暗に訴えた。

ウーバーは、安全に対する取り組みとして、ここ2年でさまざまなツールを導入したとしている。「アプリ内の緊急ボタン」(ボタン1つで緊急電話911に連絡が可能)や、「シェア・マイ・トリップ/フォロー・マイ・ライド」(ドライバーや乗客が、ルートをシェアして家族などにリアルタイムで居場所を教えられる機能)、「運転時間ツール」(12時間運転したら6時間オフラインになって休憩を取るよう促し居眠り運転を防止)、「リアルタイムIDチェック」(ドライバーのなりすましを防ぐ)といったテクノロジーだ。

しかし一方で英国では11月、安全面での問題から、ロンドン交通局はウーバーの事業認可取り消しを決定している。

なお、ウーバーは今後2年に1度、報告書を発行する予定だとしている。米国以外の国について安全の報告書を発行するか否かについては現時点では未定のようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独VW取締役会、コスト削減強化を要求=報道

ワールド

英、国連に温室ガス削減計画の詳細提出

ビジネス

「ロボタクシー撤退」の米GM、運転支援技術に注力へ

ビジネス

米キャタピラー、通期売上高は微減の見通し 需要低迷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中