米ウーバーが安全報告書を公開、1日平均8人が性的暴力被害に
1日あたり8人が性的暴力の被害に
性的暴力や死亡事故の割合だけを見ると、「ウーバーはかなり安全」という気になる。報告書も、「ウーバーはもっとも安全な移動手段の1つ」としている。しかしこの報告書を取り上げた米CNNの見方はかなり厳しい(CNNは、ウーバーが今回、安全報告書を公表したのは、ウーバー利用時の性的暴力に関するCNNの報道がきっかけだとしている)。
性的暴力の数を利用回数の中での割合(前述の0.0001%や0.00002%といった数字)で示すことで、性的暴力をそのものとしてではなく全体的な文脈の中で示そうとしている、とCNNは指摘。ウーバーは発表文の冒頭で、米国全体(ウーバーではなく国として)での殺人や性的暴力の発生率を掲載しているが、そうした手法や、ウーバーが利用された回数のうち99.9%は何の問題もなかったとの主張も、ウーバー利用時の被害を全体的な文脈の中に納めてしまっているとCNNは批判している。
また、米女性誌「グラマー」はこの報告書について、6000件近い性的暴力が報告されたということは、1日あたり平均で8人が性的暴力の犠牲に遭っているということだと指摘。サービスを利用しようとアプリを立ち上げるときに性的暴力に遭うことを想像する人などいないとして、この数字が果たして本当に少ないのかと暗に訴えた。
ウーバーは、安全に対する取り組みとして、ここ2年でさまざまなツールを導入したとしている。「アプリ内の緊急ボタン」(ボタン1つで緊急電話911に連絡が可能)や、「シェア・マイ・トリップ/フォロー・マイ・ライド」(ドライバーや乗客が、ルートをシェアして家族などにリアルタイムで居場所を教えられる機能)、「運転時間ツール」(12時間運転したら6時間オフラインになって休憩を取るよう促し居眠り運転を防止)、「リアルタイムIDチェック」(ドライバーのなりすましを防ぐ)といったテクノロジーだ。
しかし一方で英国では11月、安全面での問題から、ロンドン交通局はウーバーの事業認可取り消しを決定している。
なお、ウーバーは今後2年に1度、報告書を発行する予定だとしている。米国以外の国について安全の報告書を発行するか否かについては現時点では未定のようだ。