隠れ家に逃走手段など 香港デモの若者たちを支える市民の輪
「政権側が若者を無視している」
抗議運動を支援する香港市民の数を計算する決定的な方法はない。逃亡犯条例への抗議として広がった活動は、いまや返還後の香港に保障された自由に対する介入への抵抗へと変貌してきた。中国はそうした介入を否認している。
香港中文大学が先月750人を対象に行った電話アンケートによれば、抗議参加者が掲げる普通選挙権の要求を支持すると答えた回答者は、前月の74%から80%へと増加している。
これとは別に10月に行われた世論調査では、四面楚歌の状態にあるキャリー・ラム(林鄭月娥)香港行政長官の支持率は、返還後の歴代長官のなかで最低となっている。
ラム長官は、自身の行政府に対する不満が広がっていることを認めつつ、エスカレートする暴力を批判している。ここ数日は、包囲された大学で抗議参加者と警察部隊との抗争が続くに至っており、最近の衝突では、催涙ガス、放水銃、火炎瓶が多数用いられ、何十人もの負傷者が出ている。
カトリーナさんは、自分としては暴力には反対だと言いつつ、彼女が匿っている人々が抗議の際に何をやったか尋ねようとはしない。
彼女は、政府にとっては、なぜ抗議参加者が暴力に訴えなければという気持ちになったかという問題の方が大きいと言う。
ラム長官は自分がどのような存在と見なされているかコメントしていないが、カトリーナさんは「長官は、自分は母親であり、香港の若者たちを我が子のように扱っている、と言う。だが、その子どもたちは、なぜ注意を惹くような行動を起こしているのか」と問いかける。「政権側が、彼らを無視しているからだ」。
先月の香港中文大学による調査では、行政府が大規模で平和的な抗議行動にきちんと対応しなかった場合は暴力的な戦術も正当化されるとの回答は全体の60%にとどまった。抗議活動が殴打や刃物の使用、さらには銃撃まで見られるほど暴力的にエスカレートしている中で、こうした支持に影響が出る可能性はあるが、今のところ、オンラインのグループを通じて抗議参加者に提供される支援に変化は見られない。
「市民は実際に(抗議参加者の)要求を支持しており、政府の対応に怒っている。市民としては、抗議参加者の暴力を非難しにくい」と調査を実施したフランシス・リー教授(ジャーナリズム論)は言う。