最新記事

メディカル・ツーリズム

広がる「インドで格安医療」の選択肢 90憶ドル市場へ

India’s Medical Tourism Market Could Reach $9 Billion Next Year Buoyed By Low Cost, High Quality Service

2019年11月27日(水)17時38分
パラシュ・ゴーシュ

ゴアのサンジブ・ガウンス・デサイ観光局長は、「政府と民間の協力で州内にいくつかの高度に専門化された医療施設が開設された」と言う。医療目的の外国人旅行者が今後も増加すると期待している。

「世界有数の優れた医療施設や訓練を受けた専門家、最高品質のインフラなど、ゴアは医療観光に最適の場所だ。ゴアに設立された最新の医療施設は常にメディカルツーリズムと健康増進のためのプランを提供している」

さらにデサイは付け加えた。「歯科、心臓治療、美容整形、ヨガ、全身の健康プロファイル、女性の健康プラン、がん検診、アーユルヴェーダ、ホメオパシーなど、多くのヘルスケアプランから選択できるようになった」

インド政府は今年8月ビザの方針を変更、通常のビザがあれば、医療ビザを申請しなくても、インド国内で外国人が治療(臓器移植を除く)を受けられるようになった。

「以前の医療ビザは観光ビザよりもはるかに高価だったし、登録などの煩雑な手続きが要求されたが、現在はすべてが廃止された」と、ハリッシュ・ピライ博士は言う。

「インドの強みは、すぐれた技術を身に着けた医師、サポートスタッフ、看護師が存在すること、そして過去数年の間に開発された最新の設備が導入されていることだ。先進国でもまだ採用されていない最新技術も使われている」と、言うのはインド商務省のダーパン・ジャイン次官補だ。

インド人患者にもメリット

ピライはさらに、インドを訪れる外国人患者はインド人より高い治療費を払っていること、それがより多くの民間投資と資本を引き付け、より良いインフラとより高い技術につながることを指摘した。

「この価格構造のおかげで、利益をインド人の患者に投じることができる。外国人患者を受け入れることによって支払われる医療費を、インド政府は教育を充実させるために必要としている」と、ピライは付け加えた。

世界のメディカルツーリズム市場は、24年までに1350億ドルを超えると予想されている。

(翻訳:栗原紀子)

20191203issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中