激動のレバノン、大規模デモと経済危機の背景とは
暗黒時代への回帰の恐れ
デモ参加者の指導者は存在せず、要求内容は多岐にわたり、それらに答えるのは容易ではない。ハリリ氏が最初に出した対策案はあっさり却下された。
ハリリ氏など指導者らは現在、密室で新政府の樹立について協議している。新内閣メンバーの少なくとも一部を、国民の信頼を得て改革を遂行できる実務家とするのが1案だ。
しかしハリリ氏が辞意を表明して1週間を経ても事態打開の糸口は見えない。現在の連立政権を樹立する際にも9カ月の協議を要した。
デモ参加者は政府の抜本的な改革を求めており、旧閣僚が1人でも残留すれば失望を誘うだろう。デモが続き、混乱が長引く恐れが指摘されている。
レバノンポンドが大幅に切り下げられるなど、経済危機が深刻化するようなら、社会の混乱にも拍車がかかりそうだ。30年前の内戦時のような暗黒時代への回帰を恐れる声も聞かれる。
より穏健なシナリオとしては、新内閣が速やかに組成され、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、あるいはカタールなどから金銭的支援を得られる可能性が考えられる。
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