最新記事

米朝関係

ボルトンが警鐘「北朝鮮は核兵器のウォルマートかアマゾンになりかねない」

John Bolton Rebukes Trump's Claims of Nuclear Disarmament with North Korea

2019年10月1日(火)15時40分
ベンジャミン・フィアナウ

北朝鮮の核放棄が制裁解除の条件と言ってきたボルトン(2018年4月5日、ホワイトハウスで) Kevin Lamarque-REUTERS

<トランプに解任されたボルトンが、トランプは北朝鮮に甘過ぎると警告。怨恨か、それとも安全保障専門家としての信念か?>

北朝鮮に対する強硬路線が嫌われ、ドナルド・トランプ米大統領の安全保障担当補佐官をクビになったジョン・ボルトンがワシントンに帰ってきた。北朝鮮の核兵器のことがよほど心残りだったのだろうか。

9月30日、解任後初めて公の場で発言したボルトンは、北朝鮮は核兵器の数を着々と増やしており、外国に売る可能性もあると警告。トランプの北朝鮮政策を批判した。

「北朝鮮は日を追うごとに、ますます危険な国になりつつある」と、ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が主催する会議でボルトンは述べた。「現在の北朝鮮のやり方が気に入らないとすれば、もし北朝鮮がアメリカ各地の都市に到達できる核兵器を手にしたときはどうなると思うのか? その時が来てから行動するのか?」

ボルトンは、金正恩朝鮮労働党委員長の出方に楽観的過ぎるトランプの姿勢を批判した。アメリカ政府は今や、当初の条件だった朝鮮半島の非核化どころか、北朝鮮が保有する核兵器を削減するだけで制裁を緩和する可能性があるとボルトンは言う。

「金正恩の戦略的決断は、目標地点に到達可能な能力のある核兵器を維持し、さらにそれを開発・強化するためならどんなことでもするということだと私は考えている」とボルトンは述べた。

「軍事行動という選択肢もある」

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は7月の報道で、トランプが金と首脳会談を繰り返す間にも、北朝鮮は既に推定で20基~60基の核兵器を保有しており、さらに1年で6基~7基ほど製造できた可能性があると示唆した。

ボルトンは、北朝鮮が他国に核兵器を売りまくる可能性も示唆した。「目標到達能力のある核兵器を頼めばいつでも配達してくれるウォルマートかアマゾンのような存在」になるかもしれないというのだ。

ボルトンによれば、アメリカが現在、北朝鮮に科している制裁は十分な効果を発揮していない。北朝鮮があまり核兵器や長距離ミサイルの実験を行っていないのは、もう実験する必要がなくなったからからだという。

北朝鮮への対抗手段として軍事行動という選択肢もあることを示唆した。

ボルトンはこう締めくくった。「われわれが関心をもつべきなのはこうした問題であって、米朝首脳会談が再び実現するかどうかではない」

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>ボルトン解任はトランプにしては賢明だった
<参考記事>米朝会談決裂の下手人は「壊し屋」ボルトンか

20191008issue_cover200.jpg
※10月8日号(10月1日発売)は、「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集。消費税率アップで経済は悪化する? 年金減額で未来の暮らしはどうなる? 賃貸、分譲、戸建て......住宅に正解はある? 投資はそもそも万人がすべきもの? キャッシュレスはどう利用するのが正しい? 増税の今だからこそ知っておきたい経済知識を得られる特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

TDK、今期の営業益は微増 米関税でリスクシナリオ

ビジネス

三菱電の今期、米関税で300億円コスト増 営業益は

ワールド

ECBは利下げ余地ある、トランプ氏の政策機能ぜず=

ワールド

中国が南シナ海の鉄線礁を「統制下に」と主張、フィリ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中