最新記事

イスラム国

ISが収容所から脱走!懸念された再結集が現実になる?

Hundreds of ISIS Affiliates Escape Syrian Prison Camp

2019年10月15日(火)18時00分
ジェイソン・レモン

グラムは10月7日、FOXニュースに対し「ISISはまだ壊滅していない。(撃破したというのは)現政権による最大の嘘だ」と述べた。

かつて北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官を務めた退役海軍提督のジェイムズ・スタヴリディスは10月10日にMSNBCの取材に応じ、アメリカ軍の撤退はIS再結集を可能にすると主張した。「(撤退によって)ISは確実に、IS戦闘員を集めて再編成することができる」

4つ星の退役陸軍大将ジョン・"ジャック"・キーンも10月10日、ISは撃破されたという主張を「根拠のない話」とFOXビジネスに語った。

ISの戦闘員が脱走したことで、ISが再結集するのではないかという懸念は確実に拡大するだろう。連邦議員たちは、トランプの決断は国の安全を脅かし、同盟国との関係も危機にさらすと繰り返し批判している。一方のトランプは自らの決断を正当化すべく、トルコもNATOを通じたアメリカの同盟国である点を指摘している。

トルコと戦う力は米軍にはない

同時に、もしトルコがクルド人勢力を攻撃し、IS戦闘員の脱走を許した場合は、トルコに厳しい経済制裁を科すと脅しをかけてきた。トルコがシリアに侵攻して以来、クルド人勢力への攻撃やIS戦闘員の脱走は、どちらも現実のものとなっている。10月半ばには、トルコの支援を受けたシリア軍が、クルド人兵士を処刑しているらしい動画も拡散した。クルドの民間人が攻撃されているとする報道もある。

FOXニュースのアンカー、クリス・ウォレスが米国防長官マーク・エスパーにこの報道を突きつけると、エスパーはアメリカはトルコ軍に立ち向かう力を持っていなかったと述べた。

「第一にアメリカは、1万5000人規模のトルコ軍がシリアに侵攻するのを阻止できる戦力を配備していない」とエスパーは述べた。さらに、アメリカにとってトルコはNATOを通じた長年の同盟国であることを指摘したうえで、「アメリカはSDFのためにトルコと戦う約束はしていない」と述べた。

(翻訳:ガリレオ)

20191022issue_cover200.jpg
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

都区部コアCPI、1月は+2.5%に伸び拡大 生鮮

ビジネス

失業率12月は2.4%に改善、就業者増加 求人倍率

ビジネス

日経平均は小幅続伸で寄り付く、米株高を好感 ハイテ

ビジネス

米ビザ10─12月期、利益が予想上回る 年末消費が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中