韓国3大未解決事件「華城連続殺人」犯人が自白 映画は解決にどこまで迫った?
覚えていることが犯人に迫る
「イ・ヒョンホくん誘拐事件」を元にした映画『あいつの声』では、映画の最後に実際に誘拐犯がかけてきた犯人の音声を流して公開当時大きな話題となった。また、映画『殺人の追憶』では、シナリオを描くにあたり、ポン・ジュノ監督は事件についてかなりの時間を準備に費やし、犯人のプロファイリングを行ったという。
その結果、犯人は自己顕示欲の高い人物だと断定。この犯人が映画館に自分が起こした事件の映画を必ず見に来ると見込んだ監督は、映画のラストシーンで犯人を追っていたパク刑事のカメラ目線のアップを映している。犯人は公開当時映画館でこの映画を見ていたかもしれない。スクリーンからの、その鋭い視線は容疑者の罪悪感を少しは刺激しただろうか? 劇中、ソウル市警若手刑事を演じたキム・サンギョンは、当時インタビューにて実際の事件を映画化し蒸し返すことへの批判に対し「(事件を忘れず)覚えていること自体が報復の始まりだ」と答えた。
事件を映画化することによって、世間の注目を集めることができる。今回の華城連続殺人事件の容疑者特定にどれだけ映画が役割を果たしたのかは不明だが、犯人特定の一報がニュースで駆け巡ったとき、どのメディアも「映画のモデルになった事件」と伝えており、事件の記憶の風化を防ぐ一助にはなっていたのではないだろうか?
もちろん、未解決事件の映画化は現在進行形の捜査情報をベースにしているため、遺族の気持ちや捜査妨害の可能性を考えると、扱いは慎重なるべきだが、もしも映画の力が少しでも事件解決に役立つのなら、映画化することも賛成だ。しかし、一番望ましいのは、このような実際の事件をベースにした無残な殺人事件映画が1本でも制作されることのない世の中になることだろう。