トランプが米トウモロコシ農家に見舞った損害のダブルパンチ
Rural Base May Reject Trump in 2020 Due to His Agriculture Policies
「トランプが農業政策に関与して以来、アメリカの心臓ともいえる農村部の住人にとっては失望に次ぐ失望だった」と、ボウディッシュは言う。
「製油所に対する混合義務を免除すれば、国内の農産物市場の価格破壊が始まる。大統領の重大な失敗だ」
「トランプは、中国との貿易戦争で痛手を被っていたアメリカの農民の背中に、さらに多くの重荷を背負わせた。とても受け入れられない」
トランプは、2016年の大統領選挙でアイオワ州の99の郡のうち93で勝った。これは共和党候補者としては1980年以来の快挙だ。さらにアイオワ州は、2020年の大統領選挙で最初に投票を行う州でもある。
ボウディッシュは、「中西部の多くの人々は保守的な共和党の候補者に投票する傾向があるが、今回はトランプの支持が固まっているとはいえない」と述べた。
「多くの無党派層と多くの穏健な共和党員は、選択肢を比較しており、他の候補者の農村部に対するビジョンにも耳を傾けている」と、彼は付け加える。
アメリカで最も生産効率の高いエタノール工場でも収支はトントンだという。平均的な製造業者でも1ガロンにつき15セントの損失を出している。効率の悪い工場は廃業に追い込まれる。
需要回復の見込みなし
トランプが売り込んだE15は楽観的に受け入れられた。ただし、トウモロコシの需要は1億ブッシェル増加するが、製油所に義務適用免除を認めたことで相殺される。エタノールはトウモロコシ10億ブッシェル以上に相当することを考えると、全体としてエタノール使用の増加はほとんど見込めない。
「1歩進んで、10歩下がるという感じだ」と、ボウディッシュは言う。
トランプが就任して以来、EPAは再生可能燃料40億ガロン分に対する85の義務免除を承認しており、14億ブッシェル分のトウモロコシ需要が消失した。
アイオワ州の農家は、同州選出の共和党チャック・グラスリー上院議員の支援を受けている。グラスリーが地元紙に語ったところでは、トランプ政権は義務免除が「間違った政策である」ことに気付いており、あれは「EPAによる米国農業へのひどい仕打ち」だと言っている。
「ここでの影響はきわめて現実的だ。トウモロコシ需要は減っている。アイオワ州は米国のトウモロコシのほぼ40%を加工している。だが10カ所以上の工場が閉鎖されている。トランプ政権が国内のエタノールと農産物の需要を損なうなら、この傾向は今後も続くだろう」と、ボウディッシュは言う。
「トランプと面と向かって話すことができたら、私はこの計算と数字を突き付ける。そしてこう言うつもりだ。『あなたの政策決定の結果としての現実がここにある。農業の中心地で農家の支援を受けたいなら、農産物への需要が本当に盛り上がる政策を提示する必要がある』とね」
(翻訳:栗原紀子)
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