最新記事

韓国

嘘つき大統領に「汚れ役」首相──中国にも嫌われる韓国

2019年8月27日(火)18時57分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

文在寅の慌てようが目に見えるようだが、今さら遅い。日韓関係は決して元には戻らないし、また戻ってはいけないとさえ思う。

むしろ文在寅の「狡さ」をさらに露呈してしまったと言わねばなるまい。

李洛淵は経済に強いが、分類するなら、いわゆる知日派に属する。

東亜日報在職中は東京駐在特派員を経験し(1989年~)、国会議員時代(2000年~)には日韓議員連盟の幹事長、首席副会長など日本に関連する役職に就いている。また全羅南道知事時代の2016年1月には高知県を訪問し姉妹都市協定を結ぶなどしている。 

文在寅自身は親中で、自分の人気取りのために反日を煽りながら、日本に少しでも好意的なメッセージは李洛淵に発信させる。つまり「汚れ役」を李洛淵にやらせておいて、ここに来てもなお、「自分は無傷」でいようとするのだから、相当なものである。

満身創痍であることに気が付かないというか、それを見ないで済む性格なのだとしたら、ほとんど「病的」と言わざるを得ない。

今さらGSOMIA破棄を見直したところで、日韓関係はもう二度と、その前の状態には戻らない。

中国も信用していない

悲劇的なことに、実は中国も韓国を信用していない。それは親中の文在寅を信用していないというよりは、韓国という国家を信用していないと言った方が正確だろう。

アメリカがTHAAD(終末高高度防衛)ミサイルを韓国に配備した時、中国はロッテ排除を始め激しい経済報復を韓国に与えた。そのころ頻繁に中国政府の元高官と「中国はどうするつもりか」に関してやり取りをしたのだが、その時の「韓国に対する嫌悪感」は尋常ではなかった。文在寅政権になって親中的姿勢に舵を切り始めたが、それでも「韓国のことは信用してない」と視点を変えなかった。

ただ、あっちを向いたりこっちを向いたりする文在寅は、中国にとっては「コントロールしやすい」というだけであって、決して友好的なわけではない。信用はしていないが、しかし文在寅政権のママでいてほしいとは思っているだろう。かつてないほど意のままに動いてくれるからだ。

韓国はどこに行くのか?

では韓国は今後、どうなるのだろうか?

もちろん「亡国の道をたどるのさ」と、抽象的言葉で総括するのは簡単だろう。

具体的にどういう道をたどるのか?

まず文在寅政権の間であるなら、「親中」という道を選び、ひょっとしたら本当に「中露朝」の枠組みに入ることを選択するかもしれない。地政学的に考えて、「中露朝+韓国」の4ヵ国が東北アジアで隣接して「ひと塊」になっているのだから、一国だけ日米寄りというのは不自然といえば不自然であろう。居心地は良くないかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中