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アメリカはインド太平洋での軍事的優位を中国に奪われた 豪シンクタンク

China May Win Fight 'Before America Can Respond' in Pacific, Report Says

2019年8月20日(火)16時00分
トム・オコナー

こうした対立はまだ武力紛争には発展していないが、報告書は中国が「限定的な戦争」を起こし、通常兵器だけではなくサイバー兵器や政治的な武器も駆使して、台湾侵攻や南シナ海の島々を実効支配する可能性があると示唆する。「すべてのシナリオで中国が目指すのは、先に行動に出て、アメリカに介入の時間を与えずに長年掲げてきた政治的目標や戦略的価値を確保することだ」

アメリカの国防費は世界2位から8位の国々(中国、サウジアラビア、インド、フランス、ロシア、イギリス、ドイツ)の合計額を上回り、インド太平洋全域だけで何百もの軍事施設を維持してきた。だが「自由世界秩序を守る」という「時代遅れな超大国の考え方」が米国防総省に過度な負担を強いて、政府の注意力を散漫にしており、中国への対応が間に合わなくなる可能性があると報告書は指摘している。

報告書を執筆した研究者たちは、アメリカはインド太平洋地域のパートナー、とりわけオーストラリアと日本との協力を強化すべきだと提言している。報告書は偶然にも、マーク・エスパー新国防長官のアジア歴訪が終わるタイミングで発表された。エスパーは8月上旬、米露の中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効したことを踏まえ、アジア太平洋地域に地上発射型中距離ミサイルを配備したいとの考えを示した。中国への対抗策だ。

中国も、アメリカがアジアにミサイルを配備すれば対抗措置を取ると警告。米中ロ3カ国の新たな核軍縮協定を結ぼうというアメリカの呼びかけも拒否し、アメリカとロシアには「世界の2大核保有国として、核軍縮の責任がある」と主張して米ロをけん制した。

(翻訳:森美歩)

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※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

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