最新記事

韓国事情

韓国・文在寅大統領は日本との関係には無関心?

2019年8月6日(火)17時00分
佐々木和義

朴槿恵政権の批判に終始する文在寅政権

1965年の日韓基本条約以降、韓国の歴代政権は友好と反日を繰り返しながらも日本外交を重視してきたが、文在寅大統領は日本との関係には無関心という声がある。

日本との友好を掲げた盧武鉉政権や李明博政権は、支持率が低下した後半は反日に転じ、異常なまでの日本批判を続けた朴槿恵政権は後半で日本に歩み寄っている。

一方、文在寅政権は日本との外交は朴正煕・朴槿恵政権の批判に終始する。慰安婦問題は日韓基本条約で解決済みとする日本に対し、歴代政権は条約には含まれないとして謝罪と賠償を求めてきたが、文政権は朴槿恵政権下での日韓合意のみを取り上げる。韓国大法院が日本企業に賠償金の支払いを命じた判決でも司法府の判断を尊重すると関与しない方針を示し、政令改正に先立つ2019年7月12日に経済産業省が行った経緯説明にも韓国が正面から対応することはなかった。ホワイト国は両国の信頼を基礎とするが、その信頼を損ねる不買運動は傍観したままだ。

韓国軍内部では否定的な意見が多いGSOMIAの破棄

韓国政府は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を示唆するが、韓国軍内部では否定的な意見が多い。韓国は日本が有する情報収集衛星や地上レーダー、イージス艦などの情報を共有する一方、日本は脱北者など人的ネットワークの情報を主に得ているのだ。

北朝鮮は韓国が推進するコメ支援の受取りを拒否し、7月下旬から8月初めに短距離弾道ミサイルを数回発射した。さらに中露の領空侵犯疑惑もあるいま、日米韓の安全保障に深刻な事態をもたらしかねない協定破棄に、日韓の確執を傍観していた米国は神経を尖らせている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中