過激化する香港デモ、労組の支援でゼネストに拡大
Hong Kong Protesters Face Tear Gas, Prison Time
デモに参加するため香港MTRの金鐘駅に集まってきた参加者(8月5日) Eloisa Lopez-REUTERS
<9週目に入った抗議デモは過激化し、5日にはデモを支援する労働組合がゼネストに入った>
6月以来香港で続いている週末ごとの大規模な反政府デモは8月第一週の週末で9週目に入った。デモ隊の列は警察のバリケードを通り過ぎ、事前に許可されたルートを外れて、大通りを前進した。
ルートを外れたことから抗議デモは「違法な集会」と見なされ、8月3日の夜には警官隊が催涙ガスを使うという警告の黒い旗を掲げた。そして午後9時30分、九龍地区のデモ参加者に催涙ガスが浴びせられた。
8月4日、デモ隊は香港各地に広がって夜中まで抗議を続けた。なかには政府の建物に投石する者も過去数週間にわたる警察からの厳しい警告と頻発する暴力にもかかわらず、民主化を要求するデモ参加者にひるむ気配はない。デモ隊が解散を拒否し、信号機への電力線を切断し、警察署の階段に火をつけるなどしたため、午後8時45分までには九龍地区の旺角駅近くに機動隊が配置されていた、とCNNは報じた。
<参考記事>香港の若者は、絶望してもなぜデモに行くのか
この抗議デモのきっかけとなったのは、犯罪容疑者を香港から中国本土に移送することを可能にする「逃亡犯条例」改正案を香港政府が提案したこと。
3日はデモの最終日になる予定だった。しかし、5日にストライキの実行を求める声が香港の95の労働組合と34の銀行の職員数百人から支持され、幅広い業種が抗議活動に参加するゼネストが行われている。香港に到着する航空機は200便が欠航、地下鉄やバスも混乱に陥った。
8月5日、ゼネストとデモの影響で通勤の足を奪われた客と小競り合いに
混乱で香港ドルも下落
だが一部の香港住民にとっては、たとえ民主化を支持していても抗議行動に参加するのは危険が大き過ぎる。
すでに警察との衝突で逮捕されていた44人のデモ参加者は、最高10年の懲役刑が科せられる可能性がある「暴動罪」で起訴されている。
ある香港住民は、中国政府のブラックリストに載せられることを恐れて、匿名を条件に「抗議行動に参加すれば、催涙ガスを浴びて逮捕される可能性が高い。残念だ」と語った。
3日の夜、旺角から出発したデモが許可されたルートから東にそれ、高級ショッピング街の尖沙咀に向かったため、多くの店は早じまいし、買い物客は避難した。マスコミは、通常は多くの人でにぎわう繁華街が不気味に静まり返ったことを報じた。
連続するデモによる混乱は、香港経済にも影響を及ぼしているかもしれない。香港の通貨当局は心配する理由はないと言うが、香港ドルの価値は6月以来不安定になっている。 7月14日のブルームバーグは見出しで、香港ドルが「2018年3月以来最長の連続下落」局面にあると発表した。