香港は最後の砦――「世界二制度」への危機
香港市民の「一党支配体制」への警戒感
2019年1月22日、香港大学が行った意識調査が発表された。
テーマは「あなたは台湾独立に賛成しますか?」「あなたはチベット独立に賛成しますか?」あるいは「あなたは台湾と大陸の両岸統一を支持しますか?」など、非常に興味深いものだ。要は「一党支配体制」への警戒感を調査したということになる。
本来なら直接「あなたは北京政府を支持しますか」とか「あなたは北京政府が好きですか」あるいは「あなたは一国二制度を支持しますか」といった香港市民にとって最も切実な質問をしたかっただろうが、それをせずに、他の質問によって代替しているところが、なんともその苦しさを表していて、香港の現状を逆に映し出している。
民意調査の結果、以下のようなことが分かった。
1.あなたは台湾独立に賛成しますか?
18~29歳:賛成 58%
30~49歳:賛成 41%
50歳以上:賛成 21%
2.あなたはチベット独立に賛成しますか?
18~29歳:賛成 43%(2000年以来の最高比率)
30~49歳:賛成 24%
50歳以上:賛成 9%
3.あなたは(台湾と大陸の)両岸統一を支持しますか?
18~29歳:支持する 21%(支持しない75%)
30~49歳:支持する 27%(支持しない64%)
50歳以上:支持する 30%(支持しない54%)
香港大学のウェブサイトには、「昨年の調査では約37%の青年層(18~29歳)がチベット独立に賛成していたのだが、今年は43%となり、2000年から調査を始めて以来、最高のパーセンテージになった」という解説がある。
変わらないのは、若年層であればあるほど「独立」に賛成で、年齢が上がるにつれて「独立反対」が多くなるとのことだ。
もう一つ特徴的なのは、今年は全体として60%以上の人が「台湾と大陸の両岸統一に反対」で、54%の人が「台湾はもう一度国連に加盟すべきだ」と言っていることだと解説している。
つまり、香港の多くの若者が北京政府の支配に対して「ノー」を突き付けているという証なのである。
それは習近平体制になってから、言論弾圧の程度がますますひどくなってきたことと、実際に香港の書店の経営者などがつぎつぎと北京政府に拘束されるような事件が頻発したからに他ならない。
だから2014年の雨傘運動の失敗を繰り返さないように、これをラスト・チャンスと位置付けて若者を中心に頑張っている。高年齢層になると大陸との経済的癒着が強くなり、北京政府の顔色を窺う傾向が強まってくる。
香港は「民主」の最後の砦:「世界二制度」に移行しないために
米中対立が激化しているが、その根本原因が習近平政権のハイテク国家戦略「中国製造2025」に象徴されるハイテク戦争であることは、これまでに何度も論じてきた。