「奥さんの胸はもっと大きくなる」ボリス・ジョンソン英首相迷言集
HENRY NICHOLLS-POOL-REUTERS
<ブレグジット強硬派の新英首相は、数々の失言や問題行動で有名だ。なぜこんな人物が愛され、支持されるのか>
7月23日に保守党党首選を制し、英首相に就任したボリス・ジョンソン。その一挙手一投足に、世界中が注目している。合意なきEU離脱となればイギリス、EUだけでなく世界経済全体に影響を及ぼしかねないが、ジョンソンはその可能性を排除していない。実際、ジョンソンならやりかねない――。
本誌は8月6日号(7月30日発売)で「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集を組み、ジョンソンの人物像や「危険度」、ハードブレグジットの現実味を検証した。特集ではジャーナリストのウィリアム・アンダーヒルやコリン・ジョイス(元デイリー・テレグラフ紙東京支局長)に、ジョンソンの複雑な魅力について解説してもらった。
というのも、元ジャーナリストで元ロンドン市長として知られるジョンソンだが、何より有名なのは数々の失言や問題行動だ。「イギリスのトランプ」とも呼ばれるこの人物が愛され、支持される理由は、とりわけイギリス国外の人には理解しがたいかもしれない。
ジョンソンはジャーナリスト仲間から「人々が息をのみ、目を見開くような数々のひどい嘘をついた」と評され、世論調査では59%から「信用して中古車を買うことができない人物」と回答され、かつての上司からは「真実を大事にしていない」と致命的なこき下ろし方をされている。
その一方で、難ありの性格や行動が、なぜか受け流され、許されてしまうという不思議な力の持ち主でもある。そして博学で、才能ある作家で(ジョイスは「作家としてのジョンソンの才能を、イギリス人以外に説明するのは難しい」と書く)、選挙に抜群に強かったりもする。
ここではデリケートな話題も外国の要人相手にもお構いなし、ジョンソンのヤバさと立ち直り力の強さが見えてくる、過去の驚愕発言を紹介しよう――。
「保守党に投票すれば、あなたの奥さんの胸はもっと大きくなるし、あなたがBMW M3車を所有できるチャンスも大きくなる」
――2005年の英総選挙で保守党への投票を呼び掛けて。身も蓋もない公約。
「染めたブロンドに不機嫌そうな口元、無情な青いまなざしで、精神科病院にいるサディスティックな看護師みたいだ」
――2007年のインタビューで、米大統領選を戦っていたヒラリー・クリントンを描写して。ヒラリー大統領になっていたらどんな顔をして会うつもりだったのか。
「(女子が大学に行くのは)結婚相手を見つけるためだ」
――2013年、世界イスラム経済フォーラムで、マレーシア女性の大学進学率が増加したと発言するマレーシア首相の話に割り込んで。