デモ激化させた中国共産党下の香港への絶望 四畳半の怒れる若者たち
若者の絶望感
グラフィックデザイナーのフン・チェンさん(25)は、両親と兄弟と共に暮らしている。広さ5平方メートル(3畳弱)の自室には机と、その上に覆いかぶさるようにベッドを置いている。
そのベッドの上でチェンさんは、香港の今のシステムに、自分の家を持つ可能性を奪われたと怒りをぶちまけ、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は人々の声に耳を傾けようとしなかったと訴えた。
同長官は、2017年に選挙委員会により選出され、中国政府に任命された。チェンさんは「システムの問題だ。(行政府は)選挙による信任を必要としない。民主主義ではない」と吐き捨てた。
林鄭長官は、市民の反発を受けて「逃亡犯条例」の改正案を凍結し、来年に先送りすることを表明した。抗議デモ参加者は、改正案の廃案と行政長官の辞任を要求している。
眼鏡が似合う大卒のマイケル・ホーさん(24)も、親と同居している。抗議活動は、若者が夢を追えない不公平な現状を訴えるものでもあったと話す。
「価格の高騰が原因で、若い人が成長し、キャリアを積むのが絶望的になっている」と、ホーさんは訴えた。
人口740万人の香港では、公営住宅の入居待ちは平均5年半。住宅の平均面積は40平方メートルだ。
母親と4人の姉妹と暮らすロイ・ラムさん(23)は、若者は自分たちが手にして当然のものを求めて立ち上がったが、楽観的でいるのは難しいと話す。
「すべて諦め、別の所へ移住しようと考えてしまうことがある」
[香港 ロイター]