南アフリカのランド、新興国通貨「売り」一番の標的に 人民元の代替通貨として取引の結果か
南アの格付けが完全にジャンク級に転落するという懸念が生じただけでも、市場に重大な影響を及ぼしかねない。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が大手で最後にブラジルの格付けをジャンク級に引き下げた2015年には、レアルの対ドル相場が30%も急落。フィッチが17年にトルコをジャンク級にした際には、リラが25%値下がりした。
全面的なジャンク級への転落は、その国のソブリン債が、大手機関投資家が追随する世界の主要債券指数から除外され、大量の売りを招いて借り入れコストを押し上げる可能性がある。
ソジェンはかつて、FTSE世界債券指数とブルームバーグ・バークレイズ世界アグリゲート債券指数から除外された場合、南アの債券は60億─170億ドル規模で売られると試算した。
南ア国債の85%はランド建てで、それは為替のショックから守られる要素だ。しかし保有比率を目を向けると外国人が約40%を占め、2月以降ランドが20%値下がりし、保有比率が1年前の43%から低下していることから、既に売りが出ているように見える。
アバディーン・スタンダード・インベストメンツの新興国市場ソブリン債責任者エドウィン・ギテレス氏は「私は(南ア債とランドを)アンダーウエートにしている。しばらく前からだ」と語り、利下げの可能性がある点からすると債券市場の環境は壊滅的ではないとはいえ、ランド安とそれを効果的にヘッジできるかどうかが問題だと付け加えた。
以前のロイター調査では、ランドが年内に小幅反発するというのがコンセンサスだったが、第1・四半期の成長率下振れの衝撃で、そうした見通しも修正されるのではないか。
ソジェンは、ランドの対ドル相場は足元の14.8ランドから年末までに15.4ランドに下落し、来年半ばには16ランドになると見込んでいる。
(Marc Jones記者)
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