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中東オマーン沖のタンカー攻撃、イランによる米対抗策なら危険な賭けに
ホルムズ海峡近くで起きたタンカー攻撃について専門家は、もしイランが背後にいたとすれば、海運交通の要衝における同国の影響力誇示という狙いに合わせて綿密に練り上げられた計画とみている。写真は13日、オマーン湾で攻撃を受け炎上するタンカー(2019年 ロイター/ISNA)
ホルムズ海峡近くで起きたタンカー攻撃について専門家は、もしイランが背後にいたとすれば、海運交通の要衝における同国の影響力誇示という狙いに合わせて綿密に練り上げられた計画とみている。ただ、もしそうだとしても、そうした戦略は米国の対イラン制裁への対抗策としてはリスクの高いものだという。
イラン海軍で18年の軍歴を持つ軍事アナリスト、フセイン・アルヤン氏によると、13日に発生したタンカー2隻への攻撃は航行中に行われ、停泊中のタンカーが狙われた前月の事件よりもかなり難度が高い。
攻撃を受けたタンカーを保有する日本の海運会社の幹部は先週、乗組員から飛来物の報告を受けたと説明した。
しかし、アラヤン氏によると、このタンカーや、13日に別のノルウェー船籍のタンカーを攻撃した者は誰であれ、停泊中にタイマー式の爆破装置を磁石で船体に吸着させたか、あるいは航行中にボートや水中ドローンを使って吸着させたと分析する。
米国と欧州でそれぞれ安全保障を担当する政府関係者2人も、重傷者を出すことなく船体に損害を与えるという洗練された攻撃で、緻密な計算をうかがわせると話す。攻撃は、イランが望めば混乱を引き起こせること、ただし今はそれを望んでいないことを示す狙いがあったように見えるという。その目的は、紛争の引き金を引くというよりは、米国や他の敵対国に抑制を促すことにあるように見えるとしている。
この米欧の政府関係者2人は、イランが攻撃に関与したという直接の証拠は示さなかった。
米国はタンカー攻撃にイランが関わったと断定し、イラン革命防衛隊の関与を示す証拠と主張する映像を公表。一方のイランは関与を全面的に否定し、米軍が公開した映像は何の証拠にもなっておらず、イランはスケープゴートにされたと主張している。
シンクタンク「クライシス・グループ」のイランプロジェクトのディレクター、アリ・バエズ氏など中東専門家は、もしイランが関与したとすれば、イランが世界の石油供給を脅かし得ると示そうとしたのは明らかで、米国や他の反イラン陣営がさらに対イラン圧力を強めるのを食い止めようとの考え方だとみる。
米国防総省は17日、中東に約1000人の米兵を追加派遣すると発表したが、バエズ氏によるとこれまでのところイラン政府には、こうした動きに屈服する様子はみえない。「イランへの圧力を最大限に強めようとする米国の戦略はイランを抑え込むためとされていたが、皮肉にも実際には裏目に出ている」
英海軍の指揮官だったトム・シャープ氏は、イランは比較的低いコストで相手に大きな被害を与える「非対象攻撃」手段を取ることができると指摘。「彼らには集団攻撃の訓練を積んだジェットスキーや高速艇がある。1000ポンドのこうしたジェットスキー1台で、10億ドルの戦艦の機能を無効にできる」という。
しかし専門家によると、イランにとっても危険なのは、小さな偶発的事件が急速に事態を悪化させる恐れがあるという点だ。ワシントンのアラブ湾岸諸国研究所のアリ・アルフォネフ上級研究員は「イランが危険な賭けに出る場合、それが最終的には、イランには手に負えない戦争を引き起こすかもしれない」と述べた。
(Babak Dehghanpisheh記者)
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