最新記事

人権問題

香港「逃亡犯条例」デモ、行政長官が市民に謝罪 撤回の要求には応ぜず

2019年6月17日(月)09時42分

16日、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の取り扱いを巡って市民に謝罪した。香港で行政長官の辞任を求める抗議デモの参加者(2019年 ロイター/Athit Perawongmetha)

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は16日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の取り扱いを巡って市民に謝罪した。一方、改正案の撤回と林鄭氏の辞任を求める大規模デモがこの日も実施された。

主催者によると、同日のデモ参加者は200万人近くに上った。林鄭氏は前日に、改正案の審議延期を表明したが、撤回はしなかった。同氏は16日、謝罪の意を表明しながらも今後の対応については言及しなかった。

デモ主催者側は改正案の完全撤回を要求するとともに、12日のデモで参加者が警官隊が発射したゴム弾や催涙ガスを受けて負傷したことに抗議するために16日のデモを呼び掛けた。

警察当局によると、デモ参加者は最大33万8000人に達した。9日の大規模デモについても主催者側と警察側の出した参加者数は大幅に食い違っており、主催者側は100万人、警察は24万人としていた。

1人の参加者は「今日ははるかに規模が大きい」と述べ、12日の警察の暴力行為に抗議するためデモに参加したと説明した。

別の参加者は林鄭氏について「謝罪だけでは不十分」と強調した。

ポンペオ米国務長官は16日の米FOXニュースのインタビューで、トランプ大統領は月末の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開催を目指している中国の習近平国家主席との会談で香港の人権問題について取り上げるだろうと述べた。

「われわれは香港の市民による情報発信を注視しているし、林鄭氏の今後の決定も見守る」と語った。

米上院の超党派議員は13日、香港での大規模デモを受けて、米国が1992年制定の米国・香港政策法に基づき香港に適用している優遇措置が妥当かどうかを判断するため、香港の自治権の検証を米国務省に義務付ける法案を提出した。

[香港 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、米と関税巡り「友好的」な会談 多くの作業必要

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米中緊張緩和の兆候で 週

ビジネス

米国株式市場=4日続伸、米中貿易摩擦の緩和期待で 

ビジネス

米中、関税協議巡り主張に食い違い 不確実性高まる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中