「魔の時間」襲うフラッシュクラッシュは為替市場の新常態になるか
行動規範は助けになるか
通貨の動きを理解し、それに影響を与えようという政策当局者の試みは、統制がなく、民営で分散化した外国為替市場が持つ自由な特性によって阻まれている。
中銀と民間セクターによって策定された「グローバル外為行動規範」は、公正で適度に透明性の高い外国為替市場の促進を目的としているが、法的拘束力はない。
極端な値動きを抑える対策が導入された株式市場と比べ、外国為替市場については、当局者がまだ議論を重ねている段階にある。
フラッシュクラッシュは、ニューヨーク連銀が主催する業界団体、為替市場委員会での2度にわたる直近会合と、5月開催された中銀と民間で構成する「グローバル外為市場委員会」(GFXC)の会合で取り上げられた。
「このフォーラムでフラッシュクラッシュとその誘因を理解し、グローバル外為行動規範をどのように適用すれば、公正で効果的な外国為替市場がつくれるのか考えるのは重要だ」と、GFXCの議長を務めるニューヨ-ク連銀の市場グループ責任者サイモン・ポッター氏はロイターに語った。
外為市場で、劇的かつ長期的な乱高下が起きた場合、中銀は為替介入することで、その緩和を試みることは可能だが、議論を呼ぶだろう。
「大半の中銀にとって、第1の使命は価格の安定、そして第2の使命は金融の安定だ」とピクテ・アセット・マネジメントのシニアエコノミスト、ニコライ・マルコフ氏は語る。
「日中の動きで起こる大きな値動きが、金融の安定に悪影響を与えたり、銀行間の流動性を逼迫(ひっぱく)させたりしない限り、中銀は展開を監視するが、日中の動きに反応するべきではない」と付け加えた。
また、そういった対応は高くつく可能性もある。
英財務省によると、1992年の英ポンド危機で同国は自国通貨を守るために33億ポンドを投じ、さらにそれは無益な試みだった可能性がある。
「これまでのフラッシュクラッシュが市場流動性の枯渇によって起きたことを考えると、中銀がその発生を防げるか疑問に思っている」と 米金融大手バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニアストラテジスト、ニール・メラー氏は言う。「こうした問題に取り組まない限り、同じような価格変動は起き続けるだろう」
(翻訳:宗えりか、編集:下郡美紀)
![トムソンロイター・ジャパン](/stories/2018/05/22/save/710x28Reuters.gif)