ファーウェイ、一夜にして独自OS:グーグルは米政府に包囲網解除を要求か
一方、筆者は『中国がシリコンバレーとつながるとき』(2001年、日経BP社)に書いたように、長年にわたってシリコンバレーの企業家たちと接触し、シリコンバレー精神とは何かを学んだつもりだが、彼らには母国アメリカに対する「反骨精神」のようなものがあり、常に「グローバルの世界」の中に命を見出して生きているように映った。その彼らがトランプ政権の「一国主義」あるいは「保護主義」に共鳴するはずがない。
企業として生き延びるために一定程度は米政府に従うだろうが、彼らの魂は「グローバル」にある。それは中国政府に「いつ倒されるか分からない」として、全世界に拠点を広げていったファーウェイの運命に、一脈通じあるものがあるにちがいない。
いずれにせよ、グーグルは「ファーウェイ包囲網の解除」を米政府に求めたことだけは確かなようだ。
このニュースを最初に伝えたのはFinancial Timesのようだ。但しこのサイトは全文が読めたり読めなかったりして、不安定だった。現時点では "Subscribe to the FT to read: Financial Times Google warns of US national security risks from Huawei ban." という見出しの所で読めるはずだが...。
「Hongmeng OS」搭載のスマホ発売日
中国のネット情報ではあるが、「Hongmeng OS」を搭載したスマホの発売は、今のところ、今年の9月22日になるだろうとのこと。新たに「方舟OS」と命名し、MATE 30 PROという形で登場するらしい。
任氏は5月21日のインタビューで、「少し遅れる」と言っていたが、9月22日であるなら、それほど遅れたとも言えないのではないか。
任氏の言葉によれば、米企業と30年間にわたって培ってきた「友情」があるらしいので、今後、一つ一つ注意深く考察していく必要があるだろう。
追記:グーグルの行動規範は形式的には"Don't be evil"から" Do the right thing "に変わった(2015年にAlphabet体制になってから)。しかしそれでもなお、現在の行動規範にも、最後の一文に "And remember... don't be evil, and if you see something that you think isn't right ー speak up!" (忘れないで......邪悪にならないで。もし不正を見つけたら、すぐに報告しよう!)という形で、"Don't be evil"が残っている。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。