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ウクライナウクライナのコメディアン大統領と議会に「ハネムーン期間」はなし
ZOYA SHUーPOOLーREUTERS
<大統領選で国民の圧倒的支持を得て勝利したコメディアン出身のゼレンスキーだが、自らが率いる政党「国民の公僕」の議会での議席は現状ゼロ>
ドラマで演じた役柄そのままに、4月のウクライナ大統領選決選投票で国民の圧倒的な支持を得て勝利したコメディアン出身のゼレンスキー(文頭写真)。政治経験ゼロで難題山積のウクライナ政治を仕切れるか。内外の懸念をよそに就任早々、前任者の息のかかった人物の一掃と議会での足場づくりに乗り出した。
20日に行われた就任式で、ゼレンスキーは議会の解散と議会選挙の早期実施を宣言。国防相や検事総長らポロシェンコ前大統領が指名した閣僚や高官を罷免するよう議会に求めた。
アメリカでは通常、大統領の就任後100日間は「ハネムーン期間」と呼ばれ、議会やメディアも大統領に協力的だが、今回のウクライナの政権交代では「ハネムーン期間はないだろう」と、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのメリンダ・ヘアリングは言う。
ゼレンスキー率いる「国民の公僕」党は大統領選のために結成された新党で、現状では議席ゼロ。決選投票でのゼレンスキーの得票率は70%超だったから、この追い風がやまないうちに「できるだけ早く議会選を実施して、協力的な」議会にすることが、新大統領の「最優先課題だろう」と、ヘアリングはみる。
もちろん既成政党はこれに抵抗。大統領就任式を控えた17日にはポロシェンコ政権で連立政権の主軸を担った国民戦線が連立を離脱した。突然の離脱劇は議会選の前倒しを狙うゼレンスキーへの圧力とみられている。
だがゼレンスキーの就任直後には、フロイスマン首相が辞任を表明。選挙前倒しに抵抗するより、腹をくくって選挙戦に向けた工作を始めたほうが得策だと判断したようだ。
ゼレンスキーは21日、議会解散の大統領令に署名。議会選は7月21日に実施される見込みだが、解散の法的根拠をめぐってさらに攻防が続く可能性もある。
<本誌2019年6月4日号掲載>
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