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自動車フィアット・クライスラー、仏ルノーに対等合併を提案 日産とのアライアンスにも影響か
5月27日、自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、フランスのルノーに対し、対等合併を提案した。写真はイタリア・トリノで2018年7月撮影(2019年 ロイター/Massimo Pinca)
自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、フランスのルノーに対し、対等合併を提案した。広範囲にわたる技術革新や規制強化への対応が狙い。350億ドル強の合併がまとまれば、業界の勢力図を変え、さらなる再編につながる可能性もある。
ルノーは同提案に対し、関心を抱いているとし、友好的に検討するとの見方を示した。事情に詳しい関係者2人によると、ルノーの取締役会は数日内に非公式の会合を開き、来週にもFCAとの合併手続きを進める拘束力のない合意を締結するか判断する可能性があるという。
FCAは声明で、ルノーとの統合が実現すれば、主要な地域、自動車市場、技術において強いプレゼンスを持つ、年間販売台数が870万台の自動車メーカーが誕生すると表明。また、年50億ユーロ(56億ドル)の節減になるとの見込みも示した。
「広範囲で補完的なブランド・ポートフォリオは、高級部門から主流部門まで市場を完全にカバーできる」と述べた。
合併案によると、FCAとルノーはオランダに設立する持ち株会社の下で統合。FCA株主が25億ユーロの特別配当を受け取った上で、新会社はFCAとルノーの折半出資となる。
交渉に詳しい複数の関係筋によると、新会社の会長にはFCA株29%を保有するアニェッリ家の代表ジョン・エルカン氏が、最高経営責任者(CEO)にはルノーのジャンドミニク・スナール会長が就任するとみられている。
ロイターが入手した社内メモによると、FCAのマンリーCEOはルノーとの合併には1年以上かかる可能性があるとの見方を示した。
メディオバンカのアナリストはノートで「日産が参画すると想定して3社が統合すれば年間販売が1500万台を超え、規模のメリットは明らか」と指摘した。
自動車業界では、排ガス規制が強化される中で電動化が進み、コネクテッドカー(つながる車)や自動運転などの新技術の開発競争に乗り遅れまいと再編の動きが強まっている。
FCAは「自動車業界の変革が生む好機をつかむために果敢な決断をしなければならないことも、統合の意義を深める」と説明した。
だが、FCAとルノーの統合計画には、イタリアおよびフランスの政治と雇用の問題が立ちはだかる。欧州のフィアットの工場は、大半が稼働率が50%を下回るが、フィアットは、コスト削減計画は工場閉鎖に依存しないとしている。
ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、FCAとルノーの合併計画を原則支持するとしながらも、詳細を見極める姿勢を示した。
イタリアのサルビーニ副首相は「フィアット・クライスラーの拡大はイタリアにとって良いニュースだ」とした上で、同プランが雇用喪失につながると見込んでいないとした。
サルビーニ氏はフランス政府のルノーへの出資比率15%に関して言及しなかったが、イタリア連立政権の一翼を担う極右政党「同盟」の議員は、ルノーに出資するフランス政府と対等な立場に立つため、イタリア政府が統合新会社への出資を求める可能性があると述べた。
ミラノに上場するFCA株は19%急伸。ルノーは17%高。PSAは2.5%安。
ジェフリーズのアナリスト、Philippe Houchois氏はリポートで「FCAは、PSAと同じくらいルノーとうまくかみ合う」と述べた。
エバーコアISIのアナリスト、Arndt Ellinghorst氏は「市場は、相乗効果の数字には慎重になるだろう。自動車業界でこれまで成功した対等合併は1つもない」と指摘。新会社ではフランス、イタリア、米国が連携することになり、執行面でのリスクが意識されるとの見方を示した。
またFCAとルノーが統合すれば、ルノーと日産自動車のアライアンスにも影響を及ぼすことになる。
フランスの当局者は、雇用などを注視する方針を表明した上で、ルノーと日産のアライアンスを維持する必要があるとも主張した。
この日発表された計画によると、日産自動車は、統合後の新会社の取締役会(11人で構成)に取締役を1人指名できる。
FCAは、合併により年間で推定10億ユーロの節約が可能になり、日産と三菱自動車が恩恵を受けるとも表明した。
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