ヨーロッパの極右はやはりロシアとつながっていた
イタリアも似たようなことになっている。ポピュリズム政党の「五つ星運動」との連立で政権に参加した極右政党「同盟」(旧称「北部同盟」)は、党首のマッテオ・サルビニを副首相に送り込んだが、この男は今やヨーロッパにおけるプーチンの最大の代弁者だ。対ロ制裁に反対するだけでなく、ロシアによるクリミア半島の併合を擁護してもいる。
フランスでも、マリーヌ・ルペン率いる極右「国民連合」(旧称「国民戦線」)が過去に、ロシア政府とつながりのある銀行から融資を受けていたことは公然の事実だ。
イギリスでも、ブレグジット(EU離脱)推進派の一部にロシアマネーが渡っていた疑惑があり、当局が捜査中だ。事実だとすれば、ブレグジット後のイギリスではロシアの影響力が大きくなる恐れがある。
そもそもロシアは、イギリスをEUから引き離そうと画策していた。プーチンはヨーロッパの分断を望んでいる。そして現に、ブレグジットはイギリス国民を大きく引き裂いたし、EUの団結にも大きなくさびを打ち込んだ。
プーチンは欧州各国の伝統メディアの信用失墜も狙っている。現にイギリスでは、強硬離脱派を支援する一部メディアがせっせとフェイクニュースをばらまいている。
欧州議会選の直前にオーストリアを襲った危機は、欧州各国の指導者と有権者に対する警鐘だった。ロシアの手先と化したポピュリズム勢力を、もはや野放しにしてはおけない。
<本誌2019年6月4日号掲載>
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