最新記事

グーグル

個人データを集め続けてGoogleはどこに向かうのか 

2019年5月10日(金)18時40分
佐藤由紀子

今後も優れた体験を提供するために個人データを集め続ける

だが、Googleはそうは考えていない。公式ブログでは、「関連性の高い検索結果を表示することや、(Googleマップで)自宅への最短ルートを提示することなど、Googleのサービスをより便利にするためにデータが重要だ」と説明する。そして、「ユーザーである皆さんが自分のデータについて理解し、管理できる必要がある」とプライバシーを重視していることを強調した。

つまり、今後も優れた体験を提供するために個人データを集め続けるが、どんなデータを何のために集めているのかをユーザーにより分かりやすく説明し、管理しやすくしていくということだ。

同社は「Googleアカウント」でのプライバシー設定機能の改善や、履歴を残さずにChromeブラウザを使える「シークレットモード」のGoogleマップ版の提供、次期Android OSの様々なプライバシー機能などをGoogle I/Oで発表した。

一方で、本来ならネットで様々な個人情報を入力しなければならないレンタカーの予約などの手続きを音声命令だけで完了できる機能や、発話障害者のためにテキストをリアルタイムで音声に変換するサービスや、発話障害者のためにテキストをリアルタイムで音声に変換するサービスなど、膨大な量の個人データがなくては実現できない便利なサービスの数々を披露した。またALS患者にコミュニケーション手段を提供する「Project Euphonia」の取り組みは誰もが成功を祈りたくなるだろう。

Googleは2018年5月、創業以来のモットー「Don't be evil(悪になるな)」を行動規範から削除し、その代わり親会社の「Alphabet」が「Do the right thing.(正しいことをしよう)」という新たな規範を示している。そして、今年の方針「人々の役に立つGoogle」が、Googleのビジネスモデルにどういう形に現れていくのか、これからの展開を注視していきたい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中