ウクライナの喜劇俳優とプーチン、笑うのはどっちだ?
Who’s Laughing Now: Zelensky or Putin?
プーチンのウクライナへの執着は、ロバート・ムラー米特別検察官が作成し4月18日に公表された、いわゆるロシア疑惑の報告書の中に明確に表れている。同報告書は、ロシア情報当局者とつながりのあるコンスタンティン・キリムニックが、ドナルド・トランプ米大統領の選対本部長だったポール・マナフォートに接近して、ロシアによるウクライナ東部の支配をアメリカに認めさせようとしていたことに言及している。
ゼレンスキーが自国の部隊をどう扱うかはまだ不透明だ。彼はかつて、ロシアの支援を受けた分離主義者を「反逆者」と呼んでおり、今後ウクライナ軍との関係修復を行う必要があるだろう。「我々の下に反逆者はいない。ロシアが侵略してきたのだ」と、ウクライナ軍はツイッターに投稿。「ウクライナ軍はこのことを決して忘れないし、許さない!」
だがこの失敗にもかかわらず、一部の分離主義者はゼレンスキーの勝利を祝い、投開票日の夜にウクライナ軍の部隊めがけて発砲してきたと、ある兵士は語った。
ロシア軍は海上からくる?
ウクライナ軍の複数の当局者は、ロシアが国境地帯に部隊を集めていると言っている。だが、ロシアとの今後のいかなる紛争も、陸路より海路によるものになるはずだと、ウクライナ海軍参謀本部の作戦部長であるアンドリー・リジェンコ大尉は指摘する。「海上の境界線の防御が我々の弱みだ」
2018年11月、ロシア海軍はケルチ海峡でウクライナ海軍の複数の小型艦に発砲し、これらの艦船を拿捕した。以降、ロシア当局は同海峡を通過する貨物船の航行を遅らせており、ウクライナ軍の当局者たちはこれについて、同国東部の経済をひっ迫させるための試みだと主張している。ウクライナは今後6年間で黒海周辺12海里の支配権を獲得したい考えだが、これはきわめて難しいことだとリジェンコは語った。「ウクライナは小型砲艦2隻と補助艦船2隻しか所有していないのに対して、ロシア側は100隻を超える艦船を所有している」
海からのロシアの脅威は、西側諸国の分断を突いてくるかもしれない。ペトロ・ポロシェンコ現大統領が率いる政府は、NATOへの加盟を望んできた。ひとつの加盟国に対する攻撃を全加盟国に対する攻撃と見なす集団的自衛権の枠組みが、ロシアに将来の侵攻を断念させるだろうと期待してのことだ。だが西側の軍事当局者たちは、NATOはウクライナに関する意見の対立から機能不全状態にあると指摘する――そうなると、今度はNATOの正式なチャネルを通して情報共有を行うことへの不安が生じる。特にハンガリーやイタリアなどの国はロシア寄りと考えられているからだ。それでもNATO加盟諸国は4月4日、ウクライナへの軍事的支援を強化することで合意した。