最新記事

SNS

フェイスブックは「病的な嘘つき」──ニュージーランド当局

Facebook Executives 'Enable Genocide,' Official Says

2019年4月9日(火)17時51分
ジェイソン・レモン

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO Leah Millis-REUTERS

<クライストチャーチの銃乱射ライブ配信のような悲劇にも責任を取ろうとしないフェイスブックに、世界の規制当局は怒りを抑えられなくなっている>

ニュージーランドのプライバシー・コミッショナー(プライバシー監督機関の長)は4月7日、フェイスブックを非難する一連のツイートを投稿し、フェイスブックは「大虐殺」に手を貸していると糾弾した。

コミッショナーのジョン・エドワーズは、ツイッター投稿のひとつで、「フェイスブックは信頼できない。倫理的に破綻した、病的な嘘つきだ。彼らは(ミャンマーで起きている)ロヒンギャ大虐殺に手を貸している。外国が民主制度を覆そうとするのを手助けしている」と書いた。これらのツイートはその後、削除された。

「(フェイスブックは)自殺や性的暴行、殺人がライブ配信されるのを看過し、(ニュージーランドのクライストチャーチで起きた)モスク銃乱射事件の動画をそのまま流し続け、『反ユダヤ主義者』など憎悪に満ちた人々をターゲットにした広告を掲載している。そして、いかなるコンテンツや危害に対しても責任を取ることを拒んでいる」とエドワーズは続けた。

エドワーズはその後、一連のツイートは削除したと報告した。削除の理由として「有害かつ誤解に満ちたコメントが大量に寄せられたから」と述べ、4月8日にラジオ・ニュージーランドで受けたインタビューのリンクを貼った。

ライブ配信を遅らせるのを拒否

エドワーズはこのインタビューの中で、フェイスブックに対する批判を再び繰り広げている。「(フェイスブックは)多大な害をもたらすことができるテクノロジーだ」とエドワーズは述べ、フェイスブックが最近発表した一連の声明について「不誠実だ」とはねつけた。

「彼(ザッカーバーグ)は、フェイスブックで何件の自殺、何件の殺人、何件の性的暴行がライブ配信されたか、その数を私たちに教えることができないし、教えるつもりもない」とエドワーズは語った。「実際に私は先週、そうした数字をフェイスブックに対して問い合わせたが、彼らは、単に把握していないか、私たちに教えるつもりがないかのどちらかだ」

同コミッショナーのコメントは、フェイスブックの最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグが4月4日にTVインタビューで、ライブ配信を(内容確認のために)遅らせる機能を追加するつもりはないと述べたのを受けたものだ。

ニュージーランドのクライストチャーチで3月15日、白人至上主義者がモスクで銃を乱射する事件が発生し、50人が死亡、50人以上が負傷した。犯人はフェイスブックで、モスクで祈りを捧げる人たちに向けて銃を乱射する自らの姿をライブ配信したが、フェイスブックはそれに対する対応が遅かったとして批判を浴びている。同社はオリジナルの動画を削除したが、ほかのユーザーが再投稿するケースがあとを絶たない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 5
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 8
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 9
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 10
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中