中国政府が遂にHuaweiと組む──「5G+4K・8K」で
3.社会信用システム構築のための63社からも排除
これに関しては、まだコラムを書く時間が取れないままでいるが、中国の全ての人民を監視するための社会信用システム構築には、63の企業や組織が関わっている。それらは全て中国政府によって指名されたものだが、この中にもHuaweiの名前はない。
このように、これまで中国政府とHuaweiとの間には大きな距離感が横たわっていた。その理由に関しては、このコラム欄で数多く書いてきたが、最大の理由は国有企業ZTEとHuaweiとの間で30年間にわたって続いてきた内紛があったからだと言っていいだろう。国有企業は中国政府そのものなので、Huaweiは中国政府と闘ってきたと言っても過言ではない。
譲歩したのは中国政府側だった
2018年12月7日、<このままHuaweiを排除すると日米にとって嫌な事態が:一刻も早く解明を>というコラムを書いたが、あの時点で心配したのは、Huaweiがあまりに追い詰められると、Huaweiのための半導体メーカーであるHiSilicon(ハイシリコン)の半導体を外販するということに踏み切るのではないかという可能性だった。そうなると中国のハイテク国家戦略「中国製造2025」は一気に前進する。
ところが屈したのはHuaweiではなく、中国政府側だった。
アメリカはHuaweiが「中国政府と癒着し、情報を抜き取って中国政府に渡している」としてHuaweiの排除を関係各国に呼びかけてきたが、欧州諸国は、アメリカがその証拠を見せない限り、アメリカの言う通りには動かない。
デジタル・シルクロード――中国「5G、欧州こそが主戦場」
3月26日付のコラム<G7切り崩す習近平「古代シルクロードの両端は中国とイタリア」>や4月1日付のコラム<マクロン大統領も対中ダブルスタンダード>などに書いたように、中国はすでにG7の一角を崩し、EUをも中国の傘下に置こうとしている。
G7のうち、「一帯一路」への参加を表明したのは、たしかにイタリア(今年3月23日)だけではあるが、ヨーロッパ諸国は24ヵ国が、そしてEUでは既に14ヵ国が加盟していた。その後、3月27日に、中国の海南島で開催されていた「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」に参加したルクセンブルクのベッテル首相が李克強首相と会談して「一帯一路」への協力に関する覚書に署名したので、これでEUは15ヵ国が一帯一路に協力を表明したことになる。
これらの国々は、基本的に5GにおいてHuaweiを排除するとは言わない。
中国にとって「一帯一路」は巨大経済圏であると同時に巨大軍事戦略圏であり、かつ巨大デジタル・シルクロードでもあるのだ。