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5G界、一夜にして一変! 「トランプ勝利、Huawei片思い」に終わるのか

2019年4月18日(木)19時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

その前夜に私は、あんなにまで苦労して<Huaweiが5G半導体をAppleにだけ外販?――Huaweiの逆襲>を書いていたのだが、まあ、あのとき書かなかったら、二度と、この分析をすることは出来なかっただろうから、それはそれで良かったのではないかと思っている。決して負け惜しみではなく、「和解」が分かったあとで書いても、あの緊迫感を抱くことは二度となかっただろうから、Huaweiがどのような覚悟だったのかを考察する上では無駄ではなかった(と、自分に言い聞かせている)。

これを書いたからこそ、今この時点での中国ネット民の落胆が意味するものと、「和解」がもたらす今後の5G世界への影響が見えてくるからだ。

(和解内容に関しては日本のメディアでいくらでも見ることができるので、ここでは省略する。)

背後にはトランプ大統領

全ての中国情報にほぼ共通する、もう一つの分析がある。

それは「アップルとクァルコムの和解の背後にはトランプがいる」という分析だ。

日本のニュースでも既に数多く報じられているように、トランプ大統領は4月12日に、5G規格などに関して「アメリカは絶対に5G競争において勝たなければならない!」「アメリカは5Gのリーダーでなければならない!」と力説し、アメリカ政府が民間企業の投資を後押しする姿勢を、「突然!」打ち出している。

なぜ、ここにきて「突然!」なのか?

中国ではこれをHuaweiのアップルへの「オリーブの枝」援護発言と関係しているとみなしている。

<Huaweiが5G半導体をAppleにだけ外販?――Huaweiの逆襲>でも書いたように、「新浪科技」が、「華為(Huawei)がもしかしたら5G半導体を外販するかもしれない 但しAppleに対してだけ」と発表したのは4月9日 の「07:40」だ。その時点で既に「エンガジェット(Engadget)」が、「内部情報に精通している関係者が『華為が5G半導体を外販してもいいと言っているらしい。ただし、アップルに対してのみだ』と述べている」と報道している。

となれば、トランプ大統領の耳にもその情報は届いているものと推測される。なぜならトランプ大統領が4月12日に発言したのは、米連邦通信委員会(FCC)のパイ委員長とともに、ホワイトハウスでイベントを開催した時のことである。ということは、FCCは、このガジェット情報を入手していたと考えていいだろう。彼らは時々刻々湧き出てくるHuaweiに関する情報を必死でキャッチしているはずだ。

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