最新記事

アメリカ政治

タイム誌の「100人」選出、米民主党の「過激派」新人議員

Elizabeth Warren Praises Ocasio-Cortez

2019年4月18日(木)18時30分
キャサリン・ハイネット

つい1年前までバーテンダーとして働いていたオカシオコルテス Aaron P. Bernstein-REUTERS

<オカシオコルテスは今年議員になったばかりの29歳、政治経験もないのに、議会では「あり得ないほど」発言力を高めている>

米民主党の大物議員エリザベス・ウォーレンが、米週刊誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた新人議員アレクサンドリア・オカシオコルテスのために短い推薦文を書き、彼女の政治姿勢を激賞した。

ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)は、オカシオコルテス下院議員は政府が見て見ぬふりをしている小さな人々の代弁者だ。

(リーマンショックがあった)2008年にオカシオコルテスの父親が亡くなった後、一家は経済的に困窮し、「彼女は、政府は大手金融機関を救済する一方で、自分たちのような貧しい家族を無視するのを目の当たりにしてきた」と、ウォーレンは書いている。「今のアメリカでは、政府は強きを助け、弱きを挫くのだと、彼女は辛い経験を通して学んだのだ」

米議会でウェルズ・ファーゴ銀行のCEOを問い詰めるオカシオコルテス

「1年前には」と、ウォーレンは続ける。「彼女はバーで客の注文をとっていた。今では何百万もの人々が、彼女の言葉に突き動かされている。彼女は私たちみんなに思い出させてくれる。たとえ際限のない欲望と腐敗が進歩を遅らせても、ロビイストが政府と議会を包囲しても、民主主義の国アメリカでは、今なお人々が真のパワーを握っているのだ、と」

トランプの不法移民対策を残酷と非難するオカシオコルテス

元バーテンダーのオカシオコルテスは昨年6月、米中間選挙のニューヨーク州民主党予備選で、大方の予想を裏切って現職のベテラン、ジョー・クラウリーを破り、11月の本戦でも勝利して、今年初めの就任宣誓式で史上最年少の女性下院議員となった。

党内でも毀誉褒貶が激しい

タイムは今年3月、彼女を表紙にした特集を組み、民主党内で急速に「あり得ない」ほど発言力を高めていると紹介した。

ソーシャルメディアの巧みな利用や急進的な政策で、共和党だけでなく、民主党内からも賞賛とともに手厳しい批判を浴びるオカシオコルテス。彼女を過激派と呼ぶ向きも多いが、本人は「社会民主主義者」を自称する。国民全員のための医療保険、不法移民の取り締まりに当たる移民関税執行局(ICE)の廃止、エネルギー政策の転換による雇用創出を目指すグリーン・ニューディールを主要な政策課題に掲げている。

ウォーレンはハーバード・ロースクールの教授を務めた法学者で、やはり党内左派とみなされる進歩的な民主党員だ。2020年の大統領選に向けた民主党予備選の有力候補の1人で、昨年末に選挙戦のための準備委員会を立ち上げ、今年2月に正式に出馬を表明した。

ウォーレン陣営は米政界の「腐敗」一掃、中間層の立て直し、「すべての人々のための外交政策」などの目標を掲げている。

20190423cover-200.jpg

※4月23日号(4月16日発売)は「世界を変えるブロックチェーン起業」特集。難民用デジタルID、分散型送電網、物流管理、医療情報シェア......「分散型台帳」というテクノロジーを使い、世界を救おうとする各国の社会起業家たち。本誌が世界の専門家と選んだ「ブロックチェーン大賞」(Blockchain Impact Awards 2019)受賞の新興企業7社も誌面で紹介する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ次期大統領、予算局長にボート氏 プロジェク

ワールド

トランプ氏、労働長官にチャベスデレマー下院議員を指

ビジネス

アングル:データセンター対応で化石燃料使用急増の恐

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中