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選挙タイ総選挙、親軍政派と反軍政派の双方が政権樹立を宣言 政局混迷で経済にもリスク
タイ下院総選挙は25日に暫定結果が発表されたが、最終結果の判明には数週間を要する可能性があり、減速傾向にある同国経済にとって新たな不透明要因となっている。バンコクで24日、開票結果を待つ取材陣(2019年 ロイター/Soe Zeya Tun)
タイ下院総選挙は25日に暫定結果が発表されたが、最終結果の判明には数週間を要する可能性があり、減速傾向にある同国経済にとって新たな不透明要因となっている。政局が膠着すれば、財政支出に支障が出て外国人投資家に敬遠されかねない。
2014年の軍事クーデター以来5年ぶりに実施された総選挙は、親軍政政党と反軍政政党の双方が政権樹立を宣言し、投票の不正も指摘されるなど、混乱に見舞われている。結果が明確になるのは数週間後かもしれない。
安定政権に速やかに移行し、経済政策や投資プロジェクトが続行されるとの期待は砕かれた。
ノムラ(シンガポール)のエコノミスト、Charnon Boonnuch氏は「政局不透明感の強い状態が続くだろう。政権樹立が長引き、難航しそうだからだ。投資の見通しが弱まるため、経済成長の下振れリスクになる」と話した。
クーデターを主導したプラユット首相の続投を望む親軍政政党と、失脚したタクシン元首相派の政党はいずれも、政権を樹立できると宣言している。
カシコンバンクの資本市場調査責任者、Kobsidthi Silpachai氏は、政権移行が遅れれば「財政支出の実行に悪影響が及び、貨幣の流通速度が落ちる」と述べた。
財政支出はただでさえ目標を下回り、民間投資の足かせとなっている。輸出は低迷し、多額の家計債務によって個人消費は抑制されているため、経済成長の鍵を握るのは民間投資だ。
政権移行に手間取れば、タイ東部工業地帯への投資誘致を目指す450億ドル規模の経済プロジェクト「東部経済回廊」にも遅れが出かねない。
ファンドマネジャーらによると、親軍政政党とタクシン派のいずれが政権を掌握しても、政権は不安定になり、経済や金融市場に悪影響を及ぼすとの懸念もある。
アセット・プラス・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、Kamonyos Sukhumsuwan氏は「向こう3、4カ月はタイ株式市場の重しになりそうだ」と予想。市場に人気のある親軍政政党が政権を樹立できたとしても、「長期的には安定性にリスクがあるし、政権運営を巡る難しさがある」と語った。
タイの主要株価指数は25日に1.2%下落した後、26日には0.4%反発した。しかし外国人投資家は売り越しを続けており、年初からの売り越し額は累計129億バーツ(4億07710万ドル)に達した。
アジア通貨が総じて上昇する中、タイのバーツは26日、ドルに対して0.2%下落した。
タイの2018年の成長率は4.1%と、6年ぶりの高さを記録したが、フィリピンの6.2%、インドネシアの5.17%などに比べると後れを取っている。
中央銀行は先週、世界的なリスクが高まっているとして、タイの19年の成長率見通しを従来の4.0%から3.8%に引き下げた。下方修正はこの3カ月で2度目。
(Orathai Sriring記者 Satawasin Staporncharnchai記者)
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