中国が南シナ海で新たに「人工島の街」建設を計画
Beijing Pushes Ahead With New South China Sea Base
その前の週にも、米軍の爆撃機2機が南シナ海の上空を飛行したとの報道があった。マイク・ポンペオ国務長官は「国際海域での違法な島の造成」を行っているとして、中国政府を強く非難していた。
2018年11月には、マイク・ペンス副大統領がシンガポールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の場で、アメリカは中国の領有権には反対すると改めて確認。ニュース総合誌のザ・ウィークによれば、ペンスは「南シナ海はひとつの国に属するものではなく、アメリカは今後も国際法が認め、我が国の利益にとって必要である限り、どこでも航行と飛行を行っていく」と語った。
中国が領有権を主張する海域については、マレーシア、台湾、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、フィリピンが領有権を主張している。南シナ海は世界で最も船舶の通航が多い航路のひとつで、同海域を通じて貿易を行っている企業や国にとって、同海域の安定と開放が維持されることがきわめて重要であることを意味している。
アメリカから激しい反応も
中国空軍の戴旭大佐は2018年12月、中国は自国が領有権を主張する海域に侵入したアメリカの艦船に対して、武力で対抗すべきだと発言した。共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙である環球時報によれば、戴旭は「もしもアメリカの艦船が再び中国の領海に侵入した場合には、2隻の軍艦を派遣すべきだ。1隻はアメリカの艦船を止めるため、もう1隻は体当たりするためだ」と語った。「我々は自国の領海でアメリカの艦船が騒ぎを起こすのを許さない」
北京にある中国人民大学の時殷弘教授(米中関係が専門)はサウスチャイナ・モーニングポストに対して、三沙市の計画は、アメリカ政府による激しい反応を招く可能性があると指摘した。
「もしも大規模な計画が急速に実行されることになれば――私はそうなるとは思わないが――アメリカの戦略的な対応は劇的なものになり、米中の対立はエスカレートするだろう」と彼は語った。そうなれば、トランプ政権との間で続いている貿易協議をはじめ「中国が国内外で主な優先事項としている数々の問題が脅かされることになる」と指摘した。
(翻訳:森美歩)
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