トランプ政権「万年閣僚候補」クリスティーの恨み節が炸裂
Bridge Over Troubled Waters
トランプのライバルから支持者、そして側近へと転じたクリスティー Olivier Douliery/GETTY IMAGES
<トランプ政権顧問のクリスティー前ニュージャージー州知事が、1月に出版した回顧録でクシュナーやバノンら政敵たちにリベンジ>
クリス・クリスティー前ニュージャージー州知事とドナルド・トランプ米大統領は似た者同士だ。どちらも出世至上主義のニューヨークの風土で育ち、どちらも騒がしく、どちらも中身のない大言壮語を本人の魅力で埋め合わせてきた。そして批判されるとすぐに個人攻撃だと受け取ってしまう。
クリスティーは16年の大統領選に名乗りを上げたものの「ブリッジゲート事件」と呼ばれるスキャンダルで撤退を余儀なくされ、その後トランプの政権移行チームの責任者になったがクビを言い渡された。だからなのか、1月に出版した回顧録『最後まで言わせろ』には復讐の思いが満ちている。この本は、トランプの首席戦略官・上級顧問を務めたスティーブ・バノンやトランプの娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナーへの復讐の手段でもあるわけだ。
クリスティーはバノンのことを「あれだけうぬぼれた様子でありながら、同時に乱れたままのベッドみたいな男はこれまで見たことがない」と表現し、クシュナーについては「サラダばかり食べている奴」と評している(これはクリスティー流の侮辱表現だ)。
しかもクシュナーは、クリスティーを副大統領候補にという話が持ち上がった際に横やりを入れた。クシュナーはトランプに対し、クリスティーが連邦検事だった00年代前半に「私の父を(脱税などで訴追して)破滅させようとした」と話したらしいのだ。クリスティーによればクシュナーはその後、バノンに自分を政権移行チームから追い出させたという。
トランプ政権で続く混乱は自分を登用しなかったせいだと言うクリスティーに、本誌ニコール・ストーン・グッドカインドが話を聞いた。
――今なぜこの本を書いたのか。
ブリッジゲート事件が起きて、大統領選に出て、ドナルド・トランプを大統領に推した。そしてこれまでの2年間、彼の相談役として政権に関わってきた。つまり本を書く理由がどんどん積み上がっていたわけだ。また、私がどのように物事を見ているかについて人々に真実を語りたかった。それを期待されていると思ったからだ。
――政権内のポストが欲しくて書いたのではとの声もあるが。
違う。閣僚になりたければ最初からなれた。労働長官のオファーも受けたし、国土安全保障長官や大統領特別補佐官のオファーも受けた。しばらく前には首席補佐官の話も出た。大統領には最初から言ってある。私が欲しいのは副大統領か司法長官の2つのポストだけで、それ以外には興味がない。
――トランプは次の大統領選で再選を目指すつもりだと思うか。
大統領が「これ以上やってられるか」と言い出す日がいつか来てもおかしくない。人生を政治に懸けてきた人ではないし根っからの政治家でもないから、辞めるのは他の人たちと比べてずっと容易だろうと思う。