G7切り崩す習近平「古代シルクロードの両端は中国とイタリア」
ここにさらに次世代移動通信システム規格「5G 」を重ね合わせた戦略「デジタル・シルクロード」が潜んでいることを見逃してはならないだろう。
すでに「一帯一路」に協力する覚書に署名したヨーロッパの国々には「オーストリア、ギリシャ、ポルトガル、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ウクライナ......」など23ヵ国があり、今般のイタリアを入れて24ヵ国となる。
これらの国々が5Gに関してHuaweiを排除する可能性は非常に低い。
たとえばオーストリアを例にとるならば、中国とオーストリアの間には「奥中商業協会(AUSTRIAN CHINESE BUSINESS ASSOCIATION)」というものがあり、工商業活動において密接な連携を保っている。
さらに人類が解読することができない「量子暗号」を搭載した量子通信衛星「墨子(ぼくし)号」打ち上げで有名な「量子の父」と呼ばれる潘建偉教授は、若い頃オーストリアに留学していた。オーストリア科学アカデミー院長で宇宙航空科学の権威であるツァイリンガー博士が、彼の恩師だ。「墨子号」はオーストリア科学アカデミーとの協力により打ち上げに成功している(上記の拙著第四章で詳述)。
したがってオーストリアは、中国の「通信技術」に関して強い信頼を持っており、非常に緊密な関係にある。残り23ヵ国と5G との関係を一つ一つ紐解いていくには膨大な文字数を要するので今回は省略するが、ことほど左様に、5G規格採用に関して、これらの国々がHuaweiを排除する可能性は極めて低いのである。イタリアはもちろんHuaweiとZTEを排除しないと明言している。
ドイツやフランスとHuaweiとの関係にも触れたいが、今回は、ここまでにしよう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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